こんにちは。
保育・教育専門家の〇〇です。
みなさんは、それぞれ「こだわり」をもっていますか?
常に、家のリビングは綺麗にしています。
PCのデスクトップのフォルダ・ファイルは整理している。整理してないと非効率だからね。
家の本棚は綺麗に並んでないと、気が済まない。
などのように、それぞれの生活や趣味、仕事において「こだわり」があると思います。
でも、それが子ども達のこだわりになると…
今日は、お気に入りのテレビは放送されないからね!! それよりも、早く準備しなさい。
今日は、お父さんが車で送ってくれるから。お母さんは用事ができたの!!
このシャツで我慢しなさい!! なんでもいいでしょ!!
となることが多いですよね。
それは、なぜでしょうか?
また、子ども達は、なぜそんなに「こだわる」のでしょうか?
そもそも、そんなに「こだわり」は悪いことなのでしょうか?
今回は、この辺りを解説していきたいと思います。
発達障害の子の「こだわり」と「切り替え」
発達障害の子は、よく「こだわりが強い。」と言われます。
特に、自閉症スペクトラム症の子どもの特徴として「常同行動」が言われるように、「こだわりの強さ」は代表的な障害特性の一つです。
こだわりの内容は、「活動の順番」や「勝ち負け」、「人」「物の置き方」など多岐に渡ります。
<例>
- 自分の中で朝の活動の順番などが決まっている。
- 登園や散歩コースなどの道順にこだわる。
- 勝敗に対するこだわりが強い。
- 1番になることにこだわる。
- 「一緒に活動する人」や「活動のあいさつの人」などへのこだわりがある。
ここで問題です。
子ども達は、なぜ何かにこだわる必要があるのでしょうか?
答えは、簡単。
そこに、本人にしか感じ得ない細かな違いを見出しているからです。
「わずかの違いがわかる」ゆえに、「こうでなければならない」のです。
野球をするお父さんがA社のバットではなく、B社にこだわるのは本人にしか感じ得ない違いを見出しているからでしょう。
お母さんが使い続ける食器用洗剤も、叔父さんが30年間たしなみ続けている煙草やビールの銘柄も違いが分かるからこそ、こだわるのだろうと思います。
こだわりには、それなりの主義・主張が伴うのです。
- 美容室なら、この店
- スカートの丈は、この長さ
- 家族で行くラーメンは、この店
きっと、「鍋奉行」と呼ばれる人も、かなりのこだわりの持ち主ですよね。
職人さんや芸術家といった職業などは、おそらくこだわり追求の最終形態と言ってもよいでしょう。
ここまで話せば、おわかりでしょうか?
どうやら「こだわり」という言葉には、否定的な意味だけではなく、肯定的な意味も含まれているのです。
ではなぜ、私たちのこだわりは肯定的に受け止められるのに、発達障害の人たちのこだわりは問題視されてしまうのでしょうか?
例えば、通勤時の乗り換えや混雑状況などの理由から、乗る電車の車両やドアを決めている人は多いと思います。
しかし、電車が混んでいたり、いつものドアから乗れなかったりしたら、どうしますか?
おそらく、私たちは一本電車を遅らせたり、隣のドアから乗ったりするはずです。
これを、「切り替え」と呼びます。
私たちのこだわりは切り替えたり、状況に合わせたりできるから問題にならないのです。
反対に、この電車やドアから乗らなければ気が済まないという、一つの状況への固執は否定的に見られてしまいます。
このように考えると、こだわりを潰そうとする指導は上手くいかないのは当然です。
「こだわりを止められる悔しさ」と「理解されない悔しさ」のダブルパンチを感じて、子どもはプライドをかけて反抗します。私たちも、自分が好まない趣味を押しつけられると不快になるのと同じです。
そして、「こだわりがマイルドになった瞬間」を見逃さないようにしましょう。
こだわり率100%が95%になっただけでも賞賛すべきことなのです。
<事例>自閉症スペクトラム/5歳児:Aくんの「こだわり」と「切り替え」
Aくんは、15時の自由時間になると、必ず「ドラえもん~のび太の宇宙大戦争~」のDVDを観ます。
この行動はAくんにとって、とても安心できる行動パターンであり、大切にしている時間です。
また、何より「ドラえもん」が大好きなのです。
しかし、ある日DVDディスクが傷ついてしまい、映らなくなってしまいました。
当然、Aくんは怒ります。
保育士がAくんをなだめても、叱責しても、全く効果はなし。
さて、保育士はどうすればよいのでしょう?
答えは、2つです。
➀共感してあげる
まずは、Aくんの以下のような気持に共感してあげましょう。
・DVDを観たかった。
・「ドラえもん~のび太の宇宙大戦争~」が、とても好き。
・「ドラえもん~のび太の宇宙大戦争~」じゃなきゃ、納得できない。
ここで、頭ごなしに「わがままを言わない!!」や「しょうがないでしょ。我慢しなよ。」、「こういうこともあるの!!」などと叱責してしまうと、状況は悪化します。
Aくんは、「先生はわかってない!!」「僕はドラえもん~のび太の宇宙大戦争~が、とっても観たいのに!!」「すごく嫌な気持ちだ!!」と、こだわりのプライドをかけて反抗します。
まずは、共感してあげることで「わかってくれた。」と、子どもに安心感や精神的な落ち着きを与えましょう。
➁次の見通しをもたせる
共感してあげることで、子どもに落ち着きが戻ったら「話し合い」をしましょう。
この「話し合い」は、Aくんの欲しい情報をわかりやすく与えてあげることが大切です。
この状況下でAくんの欲しい情報は、
・いつ観られるのか?
・どこで観られるのか?
・誰が観せてくれるのか?
・本当に観られるのか?
上記のようなことです。
ですので、以下のようなことを「約束」してあげましょう。
・〇月〇日に、
・○〇エリアで、
・ドラえもん~のび太の宇宙大戦争~を
・○○先生が、必ず観せる。
これを文字で書いたり、イラストを用いたコミック会話で伝えたりするのです。
言葉で伝えても良いのですが、書き残すことでAくんに「安心感」が生まれるので「書く」ことをおすすめします。
そして、必ず約束は守るようにしましょう。
子どもは約束を破られると、それ以降大人を信用しなくなることがあります。
そうなると、支援すること自体が難しくなるので、約束は守ることが大切です。
また、Aくんが「ドラえもん~のび太の宇宙大戦争~」の<こだわり>から<切り替え>られたら、たくさん称賛してあげましょう☆
こだわり率100%から、マイルドになった瞬間です。
Aくんにとっての、大きな一歩を共に喜び合いましょう☆
まとめ
今回は、発達障害の子の<こだわり>と<切り替え>について解説しました。
こだわりは、子どもの数だけ存在します。
その中には、理解に苦しむものもあります。
しかし、どんなときでも「共感」してあげてください。
そして、こちらの要望に頷いてくれたら、たくさん称賛してあげてください。
子どもの成長は、その積み重ねです。
<こだわり>から<切り替える>ことができた、その瞬間に子どもは大きく成長するのです。
子ども達の幸せな明日のために☆
日々、よりよい支援を目指していきましょう☆
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