愛着形成ってなに?~ハーロウの実験から紐解いてみよう~

愛着形成

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

昨今、ネットで「愛着形成」や「愛着障害」などの言葉を目にすることが多いと思います。
そんなとき、みなさんは以下のような疑問をもちませんか?

「愛着形成ってなに?」
「愛着形成って聞いたことはあるけど、よく知らない。」
「愛着を育む上で、大切な事を教えてほしい。」

分かります。
「愛着形成」って、聞きなれない言葉ですよね。

ということで、今回は「愛着形成」について、詳しくお話します

ぜひ最後までお付き合いくださいね☆

➀愛着形成ってなに?
➁ハーロウの代理母の実験
③愛着形成の重要性
④具体的な愛着の育み方
⑤まとめ

目次

愛着形成とは

「愛着形成」という言葉は、イギリスの精神科医/ジョン・ボウルビィが1969年に提唱したものです。
愛着形成とは、乳幼児期の子どもと母親や支援者との間で築かれる、心理的な結びつきのことで、英語ではAttachment (アタッチメント)といいます。

愛着は、自分が不安や寂しさを抱えているときに、親や信頼できる人にくっついて安心を得ることで形成されます。
そして、それを積み重ねることで、特定の人(親・支援者)が、子どもにとっての「心の安全基地」や「信頼できる人(キーマン)」になっていくのです。

やがて、子どもは特定の人(親・支援者)がいれば、自分は安全・安心だと感じ、精神的な満足感を得ます。
安心や満足感を得ると、子どもは探索行動を繰り返して成長していくのです。

ハーロウの代理母の実験

子育てにおいて「愛着形成の大切さ」の根拠となっているのが、ハーロウの代理母の実験です

この実験では、乳児期の子ザルを2種類の代理母(サル)の模型がある籠の中で飼育します。

代理母Aは「針金製」で、代理母Bは「布製」です。

実験開始

ハーロウが、一定期間子ザルを観察していると、興味深いことが起きました。

子ザルは、「針金製」の代理母から授乳したのです。

しかし、普段のスキンシップは、「布製」の代理母を好み、恐怖が与えられたときも「布製」の代理母にしがみついていました。

この結果から、ハーロウは1つの結論を導き出したのです。

愛着形成は、生理的欲求の充足(ミルクで腹を満たす)だけでは不十分であり、接触(スキンシップ)による安心感が大切だ。

確かに、この実験からは、接触(スキンシップ)による安心感が、愛着形成に大きく関わっていると考察できますよね。

こうして、ハーロウの実験は「愛着形成」の根拠になったのです。

※余談ですが、ハーロウの実験は一部で批判の声が上がりました。
主な声は、「倫理観に欠ける。」「非道徳的。」「動物虐待だ。」などでした。
しかし、ハーロウの実験により、愛着形成の研究が発展したことは事実です。
そして、今もなおハーロウは功績を称えられ、多くの研究者から尊敬の念を集めています。

愛着形成の重要性

ハーロウの実験で、愛着形成には接触(スキンシップ)が大事であることを理解してもらったと思います。

次は愛着形成の重要性」について話していきますね

愛着形成の重要性

子どもは、生後6ヵ月~2歳までに愛着を形成することで、他者への信頼感を育くみます。

逆に、この時期に適切な愛着形成ができないと、以下のような子どもに育ってしまうことがあるのです。

  • 他者とのコミュニケーションの取り方がわからない
  • 他者への関心を示さない
  • 他者との距離感が近すぎる
  • 過剰に良い子になろうと頑張る
  • 情緒が常に不安定
  • 嘘をつきやすい傾向がある

こういった子どもたちは、自立心や自尊心などが育たずに成長してしまいます。
大人になってからも、他者と上手く信頼関係を築けなくて苦しむことが多々あります。

結果、社会の中での生きづらさを感じてしまい、他者とトラブルを繰り返したり、仕事を辞めたりしてしまうのです。
このような傾向が過度に強い場合は、「愛着障害」と言われることがあります。

愛着障害は「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の2つがあります
2つに共通しているのは、「5歳以前に発症する」とされている点です。
「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の違いを簡単にまとめます。

反応性愛着障害人に対して過度に警戒し、信用しようとしない
脱抑制型愛着障害人との距離感が近く、過度になれなれしい

愛着障害は、幼児期や学童期を過ぎればなくなるものではありません。
大人になっても、愛着障害の症状が続き苦しむことがあるのです…。

以上のことから、乳幼児期に愛着を形成することは、とても重要であることがわかると思います。
母親だけではなく、父親や祖父母、保育園、デイサービスの先生方の力を結集して適切な愛着を形成することが大切です。

愛着の具体的な育み方

➀身体的接触

赤ちゃんの頃から、母親や父親とのスキンシップを大切にしましょう。
抱っこやおんぶ、肌の触れ合いなど、身体的接触を通じて愛着を育むことができます。

➁コミュニケーション

赤ちゃんが泣いたときには、すぐに対応することが大切です。
また、赤ちゃんが話しかけてきたときには、積極的にやり取りをしましょう。
赤ちゃんは、やり取りを通して「人と関わる楽しさ」を学びます。

③共感

赤ちゃんが笑ったときなどは、一緒に笑ってあげることで、共感を示すことができます。
「自分と同じことをした。」「自分の意志が通じた。」などは、社会性の基盤を築く上でとても重要です。
乳児期を過ぎても、子どもの気持ちや行動に対して「共感的態度」をとるようにしましょう。

④愛情の表現

赤ちゃんに対しては、愛情をたくさん表現することが大切です。
抱っこやキス、ハグなど、身体的な愛情表現はもちろん、言葉での愛情表現もするようしましょう。
赤ちゃんにとっては、「愛されている実感」をもつことが何より大切です。
乳幼児期を通して、「あなたを大切にしている。」ということを、しっかりと伝えましょう。

まとめ

子どもと、親。
子どもと、支援者。

両者が温かい触れ合いを重ねることで、「愛着」は形成されます。
そうやって子どもは、「人との関わり方」や「社会性」を学んでいくのです。

子どもが、豊かな人間関係を築けるように…。
乳幼児期から、適切な「愛着形成」の支援をしていきましょう。

はぐちるの森は、こどもたちの明日を考えるブログ

子どもたちの発達をゆっくり支援していく施設「はぐちるランド」を運営しています。
はぐちるランドは、子供たち一人ひとりがこれからの未来を楽しくのびのびと生活できるよう援助、療育を行う施設です。

また、児童発達支援施設の開設・運営をトータルサポート
子どもたちの未来のために、一緒に支援する場所を作っていきたい方の応援をしております。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA



The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

目次