前庭覚と固有覚の働きについて知ろう

こんにちは。
保育・療育専門家 コノアス合同会社 代表 柏木です。

みなさんは「感覚」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?

保護者A

うーん…よく分からない。アスリートが、『感覚を研ぎ澄ませました。』とか言っているのは聞いたことあるけど。

保護者B

視覚とか聴覚のことでしょ? 目とか耳。あと、味覚に嗅覚。

保護者C

感覚過敏のこと? 光や音に敏感に反応する子っているよね。例えば、サングラスをしたり、イヤーマフをしたり。

そうですね。みなさんがイメージするように、感覚は私たちの身体の中にたくさんあります。
視覚や聴覚、味覚、嗅覚、触覚…。

これらの感覚が正しく働かないと、私たちは生きていくのが大変です。

例えば、視覚に不具合が生じると、やたらと眩しかったり、すぐ疲れ目になったり…。
生活に支障をきたしてしまいますよね。

私たちは、普段意識していないだけで、各感覚器官が正しく働いているおかげで生活できているのです。

さて、本題になります。実は、先ほど紹介した5つの感覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)以外にも重要な感覚があるのです。

それは、「前庭覚」と「固有覚」です。

聞き馴染みがないかもしれませんが、子どもの発達には重要な感覚になります。
そして、発達障害の子どもは、この2つの感覚が未発達なことが多いのです。

前庭覚・固有覚が未発達だと、自分に自信が持てなかったり、友達とトラブルを起こしてしまう要因にもなってしまいます。

そこで、今回は「前庭覚」と「固有覚」について詳しくお話していきます

➀前庭覚と固有覚とは?
➁前庭覚と固有覚を育む遊び
③まとめ

ぜひ、最後までお付き合いくださいね☆

目次

前庭覚と固有覚とは?

前庭覚

前庭覚は、身体のバランスや体感スピードを司る感覚になります。

耳の内耳にある半円管という検出器官によって、身体の傾きや体感スピードを脳に伝えているのです。

子どもたちは前庭覚が常時機能しているので、身体のバランスをとったり、身体の向きを変えて遊んだりすることができるのです。

例えば、前転をするときにも、前庭覚は活躍しています。

前転をする場合は、以下のような手順が必要です。

➀両足を揃えてしゃがみ、両手を前に出す。
➁両手をマットにつけ、後頭部から転がるようにして体を投げ出す。

➀は、無意識に前庭覚が働き、しゃがむ際にバランスをとったり、身体や両手の向き、角度の調整をしたりしています。

➁になると、前庭覚は身体の傾きや動きを感じながら体を回転させます。回転中も自然にバランスをとり、前方に転がるように調整するのです。
この際、前庭覚は目の動きと密接に関係しているので、目をあけておくことが大切です。

固有覚

前庭覚が、「身体のバランスやスピード感」を司るものであるなら、固有覚は「筋肉や腱、関節」などを調整する感覚です。

具体的には、

〇関節や筋肉の動きの認知
〇関節の角度や筋肉の収縮の調整
〇力加減の調整
〇外圧の認知

子どもたちは、固有覚を使って、自分の手足の動きを感じ取り、筋肉の力加減を調整するのです。

固有覚が上手く使えないと、筋肉の適切な調整ができないため、物の扱いが乱暴になったり、小声で話すことが苦手になったりすることがあります。

また、ボール遊びや積み木のような、力の調整が必要な遊びも難しさがあります。

悪気なく投げたボールが強すぎたり、上手く投げられなかったりして、周囲とトラブルになることがよくあるのです。

前庭覚と固有覚を育む遊び

では、どのようにして「前庭覚」と「固有覚」を育んでいけばよいのでしょうか。

3つ、おすすめの「遊び」を紹介します。

ブランコ

前庭覚と固有覚は、運動をすることで刺激される感覚です。

ブランコは、前庭覚を刺激する最もシンプルで代表的な遊びの一つになります。

ブランコの上下動と重力を感じながら、バランス感覚を養うのです。

また、空中で手足の筋肉や関節を動かして漕ぐので、固有覚も育むことができます。

ブランコは前庭覚と固有覚の発達に、とても効果的なのです。

➁滑り台

滑り台は、滑る際の身体の傾け方やスピード感など、前庭覚を刺激します。

また、手すりを握る力加減でスピードを調整するので、固有覚の発達も促すのです。

もちろん、滑っている間は、バランス感覚を養うことができます。

滑り台で繰り返し遊ぶことで、前庭覚や固有覚、身体認識能力が向上します。

③トランポリン

作業療法の現場でよく見られるトランポリンですが、保育の現場でも重宝されます。

トランポリンは、上下に揺れる運動に優れているため、前庭覚と固有覚を同時に刺激することができるのです。

また、トランポリンは、運動量も多く、体力や筋力を養うことができます。

ただし、子どもの場合は筋疲労を起こしやすく、着地の際に足を捻ったり、骨折したりすることもあるので注意が必要です。

まとめ

保育園や児童発達支援では、「構造化」や「視覚支援」などがよく実践されています。

大変すばらしいのですが、一方で「感覚」へのアプローチは少ないのが現状です。

前庭覚と固有覚が未発達の子は、友達同士のトラブルにも繋がります。

例えば、鬼ごっこは、自分の走っているスピードを体感して、友達を追いかける遊びです。


鬼は相手との距離を目で測って、ランニングスピードを調整しながら、最後は軽くタッチします。
子ども達は、これらの感覚情報を無意識に処理でき、適切な関わりを繰り返し、社会性を育んでいくのです。

しかし、これらの情報を正確に処理できないとどうでしょうか?
きっと、その子にとっては、辛い経験になってしまいます。

お分かりですよね。

そういった子ども達には、今回紹介したような感覚の視点での支援が必要なのです。

前庭覚と固有覚を育むことで、子どもたちは、身体のバランス感覚や力加減をコントロールする力などが向上します。

これによって、子どもたちは、自信をもって遊びや運動に参加し、社会性やコミュニケーションの方法を学んでいくのです。

ぜひ、楽しい園生活のためにも「感覚」への支援をしていきましょう。

子ども達の笑顔のために、私たちにできることを少しずつ…。

きっと、それが支援の輪を広げていくことに繋がります

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