ビジョントレーニング

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

皆さんは、「ビジョントレーニング」という言葉をご存じでしょうか。

おそらく、次のような答えが返ってくるのではないでしょうか。

保護者A

ビジョントレーニング? あんまり聞いたことないなぁ。

保護者B

職場の人が言っていたのを聞いたことがあるけど、何のことかわからない。

保護者C

目のトレーニングのこと?


そうですよね。
ビジョントレーニングは、一般的にはあまり知られていないと思います。

しかし、療育の現場では広く知れ渡っている効果的な支援です。

そこで今回は、「ビジョントレーニング」について、詳しくお話ししていきます。
ぜひ最後まで読んで下さいね。

目次

ビジョントレーニングとは?

ビジョントレーニングは、80年以上前に欧米で生まれました。

その後、多くの心理学者たちが研究を重ね、今では注意欠如・多動症児(ADHD)や学習障害児(LD)などに有効な支援方法とされている発達支援プログラムです。

外界からの情報を取り込む「目」は、脳の活動に大きく影響を与えます。
よって、「目」は感覚器官の中でも最重要器官であるといえるのです。

ビジョントレーニングは、この目の機能を訓練することによって、脳を活性化させ視空間認知能力や情報処理能力、集中力、判断力など、様々な能力を高めていくものです。

私たちは、外界からの情報の8 割を目から取得しています。
聴覚や嗅覚ではなく、視覚から情報を得ているのです。
「目は口ほどにものを言う。」
これは、正しいなのですね。

目から取得した情報は脳に送信され、それを元に身体をコントロールします。

野球のキャッチボールで例えるなら、

  1. 相手が投げた(視覚入力)
  2. ボールが来る(視覚➔脳)
  3. キャッチする姿勢(脳➔身体)
  4. キャッチ(身体)

上記のような一連の動きを視覚機能といいます。

この視覚機能を高めることで、脳から身体に正しく伝えて行動する力を育てるのです。
それが、ビジョントレーニングの最大のねらいになります。

近年では、日本でも発達障害の子どもへの支援方法として、ビジョントレーニングが大きく注目されています。
今後は、ますます注目されることでしょう。

ビジョントレーニングは各感覚器官の発達を促す

ビジョントレーニングは子どもの基礎感覚を育てます。
視覚・聴覚・触覚・固有覚・平衡感覚などを刺激するトレーニングを行うことで、視空間認知の発達や目と手の協調性、言語機能の発達などを促すのです。

結果、集中する力や読み書きする力、運動能力などさまざまな力が育ちます。

ビジョントレーニングをやってみよう

ビジョントレーニングは、以下のような困り感を抱えている子ども達に効果的です。

・真っすぐに線を引いたり、定規を使ったりすることが苦手。
・キャッチボールが上手くできない。
・物との距離感を把握するのが難しい。結果、キャッチしたり、避けたりできない。

これらが苦手だと、
➀友達と上手く遊ぶ自信がない。
➁自信がないから、コミュニケーションが下手になる。
③集団に入りづらくなる。

上記のような負の連鎖に陥る前に「ビジョントレーニング」を行いたいものです。

具体的なビジョントレーニングの方法

眼球運動トレーニング

眼球を見たいものに素早くピントを合わせるトレーニングです。
眼球運動トレーニングは、「跳躍性眼球運動」「追従性眼球運動」「両眼のチームワーク」「視空間認知トレーニング」の4つに分けることができます。

(1)跳躍性眼球運動

<目的>早く、正確に自分が求めている視覚情報を得る力を育てます。

ある1点から、別の1点まで、視線を素早く動かすトレーニングを行います。
慣れてきたら、ランダムに書かれた数字や文字を探すなどの応用トレーニングもあります。
このトレーニングにより、「板書が苦手」や「本の行を読み飛ばす」といった課題の克服が期待できるのです。

(2)追従性眼球運動

<目的>正確に目だけを動かして、対象物を見失わない力を育てます。

主に、蛇のように曲がった線をゆっくりと目と指でなぞるトレーニングです。
また、速度ゼロの追従性眼球運動トレーニングでは、1点だけを目でじっと見るトレーニングもあります。
このトレーニングにより、「ディスレクシア(文字の読み飛ばし・難読症、識字障害、読字障害)」の改善が期待できます。

(3)両眼のチームワーク

<目的>両目の焦点を素早く合わせ、距離感や立体感をつかむ力を育てます。

両眼を寄せたり離したりを繰り返すトレーニングです。
慣れてきたら、平面に書かれた絵や記号を立体的に見るようなトレーニングも行います。
このトレーニングにより、物が二重に見えるたり、距離感がつかめなかったりする課題を克服することが期待できます。

(4)視空間認知トレーニング

<目的>見たものの形や色、距離感を正しく認識する力を育てます。

〇対象物と背景を区別する力

例えば、体育館でバスケットゴールを認識できるのは、対象物である「バスケットゴール」とその他の物を「背景」として区別できるからです。
このように見たい対象物だけを、きちんと認識できるような力を育てることが大切です。
トレーニングの例としては、以下のようなものがあります。

➀立体パズルや立体模型をつくる

・立体的な物体を組み立てることで、対象物と背景の関係を理解しやすくなります。

➁3Dゲームをプレイする

・3D空間での移動や物体の位置を把握するために、3Dゲームをプレイします。
子どもが抵抗感なくできるのがおすすめポイントです。

③ボードゲーム

・ボードゲームには立体的な要素が含まれているものがあります。
これらを通じて対象物と背景を区別する力を養います。

〇形や色を認識する力

この機能を向上させることにより、パズルや塗り絵に取り組みやすくなります。
物の形や色、大きさに惑わされず、「同じ形」として認識することが大切です。
フォントの種類や大きさが違っても「同じ文字である。」と認識できるのはこの機能があるからです。
ひらがなやカタカナが覚えづらい子どものトレーニングに適しています。
トレーニングの例としては、以下のようなものがあります。

➀早い子は誰かな? 数字に〇をつけよう

大きめのホワイトボードに1から20までの数字をランダムに書きます。
「用意スタート!!」の掛け声で、子どもは1から20まで順番に丸をつけていきます。
記録を計ることで、子どもは一生懸命に取り組むはずです。

➁ボール運動

キャッチボールの例でも話しましたが、球技は視覚機能をフルに活用します。
楽しい雰囲気のもと、野球やサッカーなどに取り組むことが視覚機能の改善に効果的です。
現在、国内では球技専用の療育スクールも増えており、注目を集めています。

まとめ

今回は、ビジョンとレーニングの概要から具体的なトレーニング方法まで紹介しました。
現在、多くの子が「読み書きの困難さ」や「身体のぎこちなさ」、「手先の不器用さ」を抱えています。
その背景には、「見る力の弱さ」があるのです。

ビジョントレーニングで「見る力」が伸びれば、子どものやる気や自信も大きく育ちます。
発達支援事業所や放課後デイ・サービス、家庭でも気軽に取り組めるものがたくさんあります。
ぜひ、子どもの興味関心に合わせ、楽しみながら取り組んでいきましょう。

子ども達の笑顔のために。
子ども達のアスのために。
コノアス合同会社 代表 柏木でした。

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