偏食の原因と対処法

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

発達障害や自閉症スペクトラムの子ども達を見ていると、あることに気づきます。

それは、「偏食」です。

おそらく、家族のみなさんも先生方も、一度は支援の経験があると思います。
それほど「偏食」の子は多く、また難しい問題です。

保護者A

うちの子、白いご飯しか食べない。

保護者B

電子レンジで温めないと、食べてくれない。

保護者C

肉も魚も、ほとんど食べない。主食は特定のお菓子になっている…。

子どもの将来や栄養バランスのことを考えたら、悩みが尽きませんよね。
そこで、今回は「偏食」をテーマに話していこうと思います。

ぜひ、最後までお付き合いくださいね。

(1)私たちは、どのように食べるかをイメージしている
(2)食事の構え➀
(3)食事の構え➁
(4)偏食の支援方法
(5)まとめ

目次

私たちは、どのようにして食べるかをイメージしている

食べ物のこだわりが強い子に対して、家庭や園、デイサービスではどのように支援されているでしょうか?

一般的には、「好き嫌いせず頑張ろう。」という言葉がけですよね。
他には、「食べる順番を決める」や「ご褒美を用意する」などの支援が行われていると思います。

しかし、偏食の問題はもっと深いところにあります。

食べるという行為は、いわば「戦略」作りなのです

結論から言うと、食べられる戦略や過程を想像できないために食べないのです。

私たちは目の前に出された食べ物を見て、無意識のうちに戦略を立てます。

  • この食材は箸でつまみやすいか
  • ナイフとフォークを使って、どのくらいの大きさに切るか
  • 食材をどうやって口まで運んでいくか
  • 口の開き方
  • 一口量の目安
  • 口の中に入った時の味の予測
  • 舌や歯をどのように、何回動かすのか
  • 歯で噛みちぎれない場合は、口の中でりつぶすか

上記のように、私たちは「食具の使い方」や「食材の食べ方」、「飲み込む時のイメージ」までを、瞬時に想像しているのです。

他には、「どれくらい顔を前に出せば、こぼさずに食べられるか」や「歯の間で挟まったら、どう処理をするか」などといったことまで、ほぼ無意識に考え、戦略を立てています。

つまり、食べる前から食事という問題をどう解いていくか「構え」を作っているのです。

食事の構え➀

構え」という言葉は、スポーツや武道の場面でよく用いられます。
バドミントンやバレーボールでサーブを受けるとき。
剣道や空手で、相手と対峙したとき。
全ては、「構え」から始まります。

相手を受け入れる戦略やイメージがあるからこそ、身構えることができるわけですが、物を食べる際にも「口までどのように運ぶか」、「口に入ってからどのように口を動かすか」「飲み込むときはどんな感じか」といった、「構え」が必要なのです。

さらに、下記のような食環境要因がある場合は、食べる戦略や構えが築けず、結果として偏食という状態になってしまいます。

  • 「噛む」「飲み込む」などの摂食機能の発達の遅れ
  • 偏りのある認知発達
  • 理想的でない食生活や食事内容の経験
  • 本人に合っていない食形態

食事の構え➁

筑波大学の川間健之助先生は、食材を受け入れる構えができない子の傾向として、以下の3つがあると発表しています。

➀ とにかく味が濃いものを好む
➁ 食感がクリアなもの(グミなど)を好む
③ 唾液がたくさん出るものを好む

例えば、「白いご飯は食べられるけど、混ぜご飯は無理。」という子は多いですよね。

一体、なぜでしょうか?

答えは、白いご飯は丸飲みができるくらい、口の中で処理しやすいからです。
簡単にいえば、白いご飯だけの方が、唾液がたくさん出るのです。
唾液がでるから、口の中で処理しやすいし、飲み込みやすい。
子どもは、そのことにこだわり、依存している状態なのです。

野菜嫌いも同じように説明できます。
野菜は、その多くが前述の3つの条件を兼ね備えていないのです。
味は薄く、触感もクリアではありません。
結果、唾液も出づらい…。

子ども達の「野菜嫌い」には、こうした背景があるのです。

ちなみに、マヨネーズやドレッシングを好む子が、一定数います。
それは、調味料の味の濃さや酸味で唾液が出やすくなり、口の中で処理しやすくなるからです。
時々、「マヨネーズをかけると食べられる。」「○○のドレッシングならOK。」という子がいるのは、そのためです。

他の食材では、粉吹き芋が分かりやすいですね。
粉吹き芋は、味が薄い上にパサパサして歯にまとわり付くため、口の中で処理しづらいという特徴があります。

粉吹き芋を見ただけで食べようとしないのは、「僕には処理しきれない。」という自信のなさの裏返しなのかもしれません。

偏食の支援方法

では、どのように「偏食」を支援していけばよいのか。

まずは、子どもの心に寄り添い、以下の支援を基本としてください。

  1. 子どもが好んで食べられるように調理する
  2. 食べる「構え」を意識して作っていく

➀に関しては、みなさんは問題ないと思います。

では、食べる「構え」を作る支援とは、どうすれば良いのでしょうか。

答えは、食材を、「下唇」➔「舌先」の順番で当てていくです。
ここで大事なのは、「当てるだけで、食べなくても良い。」ことを子どもに伝えて、安心させることです。

下唇は食材の性質を判断する「センサー」の機能をもっています。
まずは、自分で食材を下唇に当ててみることです。
それができたら、今度は舌を出して、舌先に食材を当てることを目標にします。

これを繰り返すことで、食材の質感や食べる際の「構え」ができ上がっていくのです。
こうして、「構え」ができれば、自ずと食べるようになるので、あとは辛抱強く待ちましょう。

まとめ

今回は、「偏食」についてお話ししました。

偏食の主たる原因は、「戦略」や「構え」ができていない。食べる食材の質感や過程がイメージできないなどです。

ぜひ、今回紹介した支援方法を試してみて下さい。
少しでも「人と食べる喜び」を感じ、その子の成長に繋がればと願っています

子ども達の楽しい毎日のために。
一つずつ、支援を実践していきましょう。
それでは、また☆

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