発達の特性~学習障害ってなに?~

こんにちは。

保育・療育専門家 コノアス合同会社 代表 柏木です。

学習障害のお子さんの保護者は、以下のような悩みをもっていませんか?

保護者A

学習障害って言われたんだけど…。どういう障害なの?

保護者B

もうすぐ小学生なんだけど、塗り絵も満足にできない。絵本も一人で読めないの…。

保護者C

お絵描きさせても、色塗りさせても雑なんだけど。

分かります。
保護者としては、心配の種が尽きませんよね。

そこで、今回は「学習障害」について分かりやすく解説していきます。
ぜひ、最後までお付き合いください☆

目次

学習障害とは

学習障害の概要

学習障害とは、全般的な知的発達の遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」などに困難が生じる発達障害のことです。

その中でも、読字障害や書字障害、算数障害に分類されることがあります。
子どもによって症状の表れ方が違ったり、他の発達障害と合併したりすることもあり、診断が難しいといわれる障害です。

学習障害の原因は、脳機能の障害の一種と言われていますが、詳しい脳の部位や本質的な原因は特定できていません。

学習障害の特徴

学習障害は知的な発達に遅れが目立たないため、教科学習に入る就学までは判断が難しい障害です。

そのため保育園などでは、

  • 絵本を読むのが苦手な子
  • 塗り絵やお絵描きが下手な子
  • 親のしつけが悪い

とみなされることがあります。

結果的に、「本人の努力不足」の烙印が押され、自己肯定感の低下に繋がりやすいので注意が必要です。

読字障害

読字障害は、文字が読めないのではなく、文を読むのが極端に遅く、読み間違えることが多い障害です。

簡単な絵本の文でも音読が遅く、読み間違えが多い

読むことに労力が必要なため、文の意味を理解するのが難しい

結果、絵本のあらすじを掴んだり、まとめたりするのに困難が生じることがあります。

文を読むのがたどたどしい

例えば、「~することは、しょうがない。」を、「~する…こと…は、しよう…が、ない。」などです。

書字障害

書字障害は、図形や文字を書くのが難しい障害です。

書字障害があると読字障害も伴うことが多く、結果的に読書や学習に苦手意識をもつようになってしまいます。

・自分の名前を書くことが難しい(始点と終点、文字と文字の位置関係の把握)
・似顔絵やキャラクターの模写が極端に苦手(形や線を正しく認識する力)
・他児と同じように塗り絵ができない(対象の色と線、背景の区別)
・迷路が苦手(視空間認知・推論する力)

算数障害

算数障害は、計算および文章問題、推論することに困難さがある障害です。

・数の概念や数列などの規則性の理解が難しい(数概念の難しさ)
・数の計算をすることが難しい(数の理解、計算力)
・文章題を解くのが難しい(文の理解、計算力)

特に、文章題の躓きは以下の3つを見極めて指導する必要があります。

・文の意味を理解できていないのか
・式の計算の意味が理解できていないのか
・式の計算で間違っているのか

早期発見・早期療育

学習障害は、特に早期発見・早期療育が大事といわれています。
早期から指導し、子どもに合った学習環境の中で学ぶことで、「読む・書く・計算」などは身に付きやすくなるのです。

学習への前向きな意欲を、自然ともたせるように指導していきましょう。

事例:5歳児A君 学習障害

A君は知的な遅れは見られず、保育園では日常生活を友達と一緒に過ごす5歳の男の子です。

ただ、次のような困難さがあります。

・探している絵本を棚から見つけるのに時間がかかる
・塗り絵をするときに枠からはみ出したり、隙間が多くなったりする。
・周囲の友達についていくばかりで、主体性がない。

おそらく、典型的な学習障害といえるでしょう。

探している絵本を見つけるのに時間がかかるのは、「見る力」が弱いためです。

具体的には、本の背表紙の文字を記憶して、同じ文字を探すという行為が必要になります。

このとき、3つの力が必要となるのです。

➀探している絵本の背表紙の文字を正しく認識する力
➁認識した文字を正しく記憶する、短期記憶の力
③複数の背表紙(文字)と好きな本の文字を弁別する力

上記3つの力がスムーズに働いていないと、見つけるのは困難といえるでしょう。

また、

塗り絵をするときに枠からはみ出したり、隙間が多くなったりする。

これは、対象の色と線、背景の区別ができていないためです。

例えば、人物の服の線と背景の線の意味を正しく捉え、区別できていればスムーズに色塗りは可能になります。

しかし、ここで躓くと色塗りの難易度は格段に上がってしまいます。

A君だけではなく、学習障害の子ども達が抱えている困難さです。
これらを総合的に考えて、A君は自信をなくしているため「主体性」までが失われてきているのです。
よって、「友達の後ろをついていく」行動に終始しているといえるでしょう。

では、A君にどう支援すれば良いのか?

以下に説明します。

迷路で遊ぼう~A君の場合~

迷路は、多数ある線から始点を見つけたり、ゴールへの道筋を推論したりしなければなりません。
また、それぞれの線の位置関係を把握し、視線を外さず進まないとゴールもできません。

つまり、A君に身につけさせたい力が、迷路には沢山詰まっているのです。

・見る力
・推論する力
・視空間認知の力(対象となる線の弁別や理解・空間を把握する力)

しかも、遊びながら力を育むことができます。

楽しみながら、成功経験を積もう

始めは、大きめの簡単な迷路から取り組むようにしましょう。
ここで躓いては、迷路が嫌いになってしまい、元も子もありません。
確実に成功経験を積ませるのです。
必要であれば、迷路に木工用ボンドで縁を付けましょう。

一緒に行うなどの支援が減ってきたら、徐々に難易度を上げていきます。
あくまで、A君が楽しめる難易度にするのがコツです。

自然と1人で取り組むようになってきたらしめたもの。
迷路が好きになり、徐々に「見る力」と「自信」がついてきた証拠です。
あくまで、A君の「楽しい」「もっとやりたい」という気持ちを大切に取り組んでいきましょう。

まとめ

今回は、学習障害について解説しました。

学習障害の子どもは、決して塗り絵や模写などを雑にやっているわけでも、適当にやっているわけでもありません。
見る力」や「視覚空間認知」に困難さがあるがゆえなのです。

そういった困難さに寄り添い、温かい支援をしていけたらいいですよね。
子ども達が自信をもって活動できるように。

日々、自分達にできることをやっていきましょう。

はぐちるの森は、こどもたちの明日を考えるブログ

子どもたちの発達をゆっくり支援していく施設「はぐちるランド」を運営しています。
はぐちるランドは、子供たち一人ひとりがこれからの未来を楽しくのびのびと生活できるよう援助、療育を行う施設です。

また、児童発達支援施設の開設・運営をトータルサポート
子どもたちの未来のために、一緒に支援する場所を作っていきたい方の応援をしております。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA



The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

目次