お子さんと一緒に作る「感覚グッズ」ワークショップ

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

児童発達支援の現場では、「感覚」への理解と配慮が、お子さんの安心や行動の安定に大きく関わります。
触る、見る、音を聞く、体を揺らす、重さを感じる――こうした感覚体験は、お子さんが世界と関わるためのとても根源的な手段です。

今回ご紹介する「感覚グッズ」ワークショップは、完成品を作ることが目的ではありません。
作る過程そのものが支援であり、お子さんの内側で起きている感覚の動きを、支援者や保護者が一緒に感じ取る時間です。

発語が困難なお子さんや、重度の障害のあるお子さんも含め、
「できる・できない」で区切らず、「そのお子さんなりの参加」を大切にした活動としてお伝えします。

目次

感覚グッズとは何か

感覚グッズの役割

感覚グッズとは、触覚・視覚・聴覚・固有感覚・前庭感覚などに、心地よく働きかける道具のことです。
児童発達支援では、気持ちの切り替えが難しい場面や、不安が高まりやすい状況で用いられることが多くあります。

感覚グッズには、

  • 気持ちを落ち着かせる
  • 注意を向けやすくする

といった直接的な効果だけでなく、
「自分はこれが好き」「これは少し苦手」という感覚への気づきを育てる役割があります。

市販の感覚グッズも便利ですが、ワークショップで一緒に作ることで、そのグッズは「自分に関わってくれた人との記憶」と結びついた、特別な存在になります。

「一緒に作る」ことの意味

作る過程がそのまま支援になる

感覚グッズ作りでは、はさみやのりを使えるかどうか、完成まで進められるかどうかは本質ではありません。

  • 素材に触れた瞬間の表情
  • 触れたあとすぐに手を離す仕草
  • 同じ素材を何度も確かめる様子

それらすべてが、お子さんの大切な反応です。

特に発語が難しいお子さんにとっては、
手の動きや視線、身体の緊張やゆるみが、そのまま「伝える」手段になります。

支援者がその反応を受けとめ、「今、こう感じているんだね」と共有することで、お子さんは「感じていい」「ここにいていい」という安心感を積み重ねていきます。

ワークショップで大切にしたい視点

正解を決めないという姿勢

感覚の感じ方に、正解や理想的な反応はありません

積極的に触ることも、距離を取って見ることも、同じように尊重されるべき反応です。

「参加していないように見える」時間も、お子さんの中では情報を整理する大切なプロセスであることがあります。
支援者は、進行を優先するのではなく、今のお子さんの状態を読み取る視点を持つことが求められます。

選択が自然に生まれる環境づくり

重度障害のあるお子さんや、発語が困難なお子さんでも、「選ぶ」ことは可能です。

ただしそれは、「どっちがいい?」と問いかけることだけを意味しません。

  • 素材を並べたときの視線の向き
  • 触れた時間の長さ
  • 身体の緊張やリラックスの変化

こうした小さなサインから、お子さんの好みや負担を読み取っていきます。

選ばせるのではなく、選びが表れる環境を整えることが、ワークショップの土台になります。

支援者は「教える人」ではなく「一緒に感じる人」

感覚グッズ作りの場では、説明や指示は最小限で構いません。

ふわふわだね

音がしたね

といった短い言葉を添えることで、お子さんの体験は「一人の出来事」から「共有された体験」へと変わります。

言葉が返ってこなくても、その場に生まれる安心感や関係性は、確実にお子さんの中に残っていきます。

ワークショップで作りやすい感覚グッズ

センサリーボトル

ペットボトルに水やビーズ、ラメなどを入れて作るセンサリーボトルは、視覚的な刺激が中心で、身体を大きく動かさなくても楽しめます。

重度障害のあるお子さんの場合、寝転んだ姿勢のまま視線で追うだけでも、十分な感覚体験になります。
「見るだけの参加」が成立しやすい点は、大きな利点です。

触覚マット・触感ボード

布やスポンジ、プチプチなど、異なる触感の素材を貼り合わせて作ります。
手だけでなく、足や腕でも感じられるため、姿勢の制限があるお子さんにも取り入れやすい活動です。

触覚過敏のあるお子さんの場合は、無理に触れることを求めず、見る・近づく・離れるといった段階も含めて参加と考えます。

音の出る感覚グッズ

容器の中に鈴や豆を入れて作る音のグッズは、わずかな動きでも音が返ってくるため、「動かす→変化が起きる」という因果関係を感じやすい特徴があります。

発語がなくても、音に対する表情や身体の反応から、興味や心地よさを読み取ることができます。

エピソード

エピソード①

発語がなく、手指の操作が難しいお子さんがセンサリーボトル作りに参加しました。
支援者が素材を入れる様子を、じっと目で追い、完成後はボトルの中の動きを静かに見つめていました。

視線が集中し、身体の力が抜けていく様子から、そのお子さんにとって心地よい時間であったことが伝わってきました。「作った」という感覚は、言葉にならなくても確かに存在していました。

エピソード②

触覚過敏のあるお子さんは、最初は素材に触れず、少し離れた場所から見ていました。
支援者が素材に触れながら感じたことを言葉にすると、しばらくしてから、そっと指先で確かめる姿が見られました。

「触らなくてもいい」と尊重された経験があったからこそ、自分のタイミングで一歩を踏み出せたのだと感じます。

家庭や地域につながるワークショップ

感覚グッズ作りは、特別な道具がなくても家庭で続けやすい活動です。
ワークショップを通して得られた「このお子さんは、こういう感覚が落ち着く」という理解は、家庭や他の支援場面でも活かすことができます。

支援者と保護者が感覚の特性を共有することで、お子さんを取り巻く環境全体が、より安心できるものになっていきます。

おわりに

感覚グッズワークショップの主役は、完成した作品ではありません。
お子さんが感じた経験こそが大切です。

視線、表情、動き、間。
それら一つひとつを大切なメッセージとして受け止めることで、お子さんの世界は少しずつ広がっていきます。

一緒に作り、一緒に感じる時間が、お子さんの「ここは安心できる場所」という感覚につながることを願っています。

FAQ(よくある質問)

重度障害のある子でも参加できますか?

はい、参加できます。見る・聞く・そばにいるだけでも十分な参加です。お子さんの姿勢や体調に合わせて無理のない形で行います。

発語がない子の気持ちはどうやって理解しますか?

視線、表情、身体の緊張や緩み、動きの変化など、言葉以外のサインを丁寧に読み取ります。

触ることを嫌がる場合はどう対応すればよいですか?

無理に触らせる必要はありません。見るだけ、距離を取ることも尊重される参加の形です。

ワークショップの時間はどれくらいが適切ですか?

お子さんの集中や体調に合わせ、10〜20分程度を目安に、途中で終われる構成がおすすめです。

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