お散歩のすすめ:季節を感じる療育のひととき

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

療育の時間は、室内での活動や遊具を使ったあそびだけではなく、外での体験を取り入れることでぐんと豊かになります。その代表的な活動が「お散歩」です。

お散歩には、子どもの心と体、そして感覚の発達に大きな効果があり、さらに季節を感じる体験ができるという魅力もあります。

今回は、未就学児のお子さんを対象に、「お散歩」を療育に取り入れるメリットや工夫、具体的なあそびのアイデア、そしてABA(応用行動分析)の視点を取り入れた関わり方についてご紹介します。
発語が少ないお子さんや、身辺自立がまだ難しい重度のお子さんでも楽しめるポイントも含めています。

目次

お散歩が療育になる理由

1. 五感を刺激できる

春の花の香り、夏の風の強さ、秋の落ち葉の感触、冬の冷たい空気。お散歩は自然がもたらす多様な感覚刺激を全身で受け取ることができます。これは感覚統合のトレーニングにもつながります。

2. 身体機能の発達を促す

歩く、止まる、坂道を上る、石をまたぐ。これらの動きはバランス感覚や体幹の発達を助けます。ベビーカーや車椅子のお子さんでも、外の環境を体験するだけで十分な刺激になります。

3. 発語・コミュニケーションのきっかけになる

「ワンワン!」「お花!」など、目にしたものを指さしたり声に出したりするきっかけになります。言葉がまだ出ないお子さんでも、保護者が代わりに言葉を添えてあげることで、言語の土台が育ちます。

4. 季節を感じられる

お散歩は「季節」を直接体験できる貴重な機会です。保護者と一緒に「春は桜だね」「秋は葉っぱが赤いね」と共有することで、生活に彩りが加わります。

季節ごとのおすすめお散歩あそび

春:色とりどりの自然を見つけよう
  • 公園や道ばたで咲いている花を探す
  • 花びらをそっと触ってみる
  • 「ピンク」「黄色」など色の名前を声に出す
  • ABA視点: 花を見つけたら「よく見つけたね!」と具体的に褒めることで行動を強化できます。
夏:感触と水のあそびを取り入れて
  • 風の強さを体で感じる
  • 木陰と日なたの温度差を体験する
  • 水道や池の冷たい水を触ってみる
  • ABA視点: 水を触ったら「冷たいね!」と声を添えてラベリングを促す。繰り返しできたら拍手やハイタッチで強化します。
秋:落ち葉や木の実を使った体験
  • 色とりどりの落ち葉を拾う
  • カサカサと音を立てて歩く
  • どんぐりや木の実を探す
  • ABA視点: 拾ったら「赤い葉っぱだね」と保護者が言語化 → 子どもが模倣したらすぐに「そうそう!赤いね」と強化します。
冬:寒さを肌で感じて
  • 白い息を見て「しろい!」と表現
  • 手袋をつけたり外したりして温度差を知る
  • 冬ならではの静けさや風の冷たさを味わう
  • ABA視点: 子どもが「白い」と言えたらすぐに「白い息だね!」と共感・賞賛し、言葉の使用を強化します。

重度のお子さんでも楽しめるお散歩工夫

「うちの子はまだ歩けないからお散歩は難しい」と思われるかもしれませんが、工夫次第で十分に楽しめます。

  • ベビーカーや車椅子で一緒に自然を体験: 風や光、音は座っているだけでも感じられます。
  • 保護者が代わりに触らせてあげる: 落ち葉や花を手に持たせて感覚を伝える
  • 言葉の代わりにジェスチャーや表情で共有: 笑顔や指差しで「これ楽しいね」を伝える
  • ABA視点: 小さな反応(目を向ける・手を伸ばす)もすぐに「見えたね!」「触ったね!」と褒めることで、子どもは「やってみよう」と思いやすくなります。

お散歩は「歩くこと」だけが目的ではなく、「季節を感じ、親子で共有すること」が大切なのです。

安全にお散歩を楽しむためのポイント

  • 人通りが多い場所は避ける
  • 車や自転車の通る道では手をつなぐ
  • 水分補給を忘れずに
  • 季節に合った服装(帽子、上着、手袋など)を準備
  • ABA視点: お散歩前に「帽子をかぶったら出発できるよ」と明確な合図を伝えることで、切り替えがスムーズになります。

安心・安全なお散歩環境を整えることで、子どもも保護者も楽しく参加できます。

よくある質問(FAQ)

どのくらいの時間お散歩すればよいですか?

2〜5歳のお子さんであれば、15分〜30分程度がおすすめです。無理のない範囲で、少し物足りないくらいで終わると「また行きたい!」につながります。また、「今日はここまで」と終わりを予告しておくと切り替えがしやすくなります。

発語がない子どもでも効果はありますか?

はい。自然の音や色、風の感覚を体験することは、言葉の理解を広げるきっかけになります。保護者が代わりに「鳥さんいたね」と言葉を添えてあげると良いでしょう。子どもが視線を合わせたり指差しをしたら、すぐに褒めることでコミュニケーションの芽を育てられます。

雨の日はどうすればいいですか?

雨の日は室内から外を眺めるだけでも「しとしと」「ザーザー」と音を感じられます。レインコートや長靴を履いて短時間だけ外に出るのもよい体験です。雨の日の活動も、小さなことを「できたね!」と褒めることでポジティブな経験に変えられます。

兄弟姉妹も一緒にお散歩に参加できますか

もちろんです。兄弟姉妹が一緒に「葉っぱ拾い」や「石集め」をすると、自然と役割分担やコミュニケーションが生まれます。「一緒にできたね」と全員を強化する声かけが効果的です。

公園や道ばたでの危険が心配です。どう対応すれば?

必ず手をつなぐ、見通しの良い場所を選ぶ、短時間で切り上げるなどが安心につながります。ABA視点では「手をつないだら歩けるよ」とルールを明確に伝え、守れたときにその都度褒めてあげると定着しやすくなります。

まとめ

お散歩は、子どもにとって「心地よい感覚」「新しい発見」「親子のふれあい」がそろった素晴らしい療育のひとときです。季節を感じながら歩いたり、触ったり、見たりすることで、子どもの発達に必要な刺激を自然に取り入れることができます。

ABAの視点を加えることで、「見つけた」「触った」「声を出した」といった小さな行動を見逃さず、すぐに褒めて強化できます。これにより子どもは「またやってみよう」と意欲を持ち、楽しい体験が学びへとつながります。

「特別な道具や遊具がなくても、自然の中にはたくさんの学びがある」
——これこそが、お散歩を療育に取り入れる大きな魅力です。ぜひ日常の中で取り入れて、お子さんと一緒に四季折々の時間を楽しんでください。

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