はじめての「じぶんで!」を応援する関わり方

児童発達支援の現場で日々子どもたちと関わっていると、「じぶんでやりたい」という気持ちが芽生える瞬間に立ち会うことがあります。
それは、靴に足を入れようとした一瞬かもしれませんし、支援者の手をそっと払った仕草かもしれません。

この「じぶんで!」は、発達の段階や障害の有無・重さに関わらず、すべての子どもが持つ大切な育ちのサインです。
今回は、児童発達支援事業所として、はじめての「じぶんで!」をどう受けとめ、どう応援していくかについてお伝えします。
また、発語のないお子さんや、医療的ケアや重い障害のあるお子さんへの関わりも含めて考えていきます。

目次

「じぶんで!」は発達の原動力

「じぶんで!」という気持ちは、

  • 自分の体や行動への気づき
  • 周囲との関係性の中での自己主張
  • 成功体験への期待

といった、さまざまな発達の要素が重なって生まれます。

うまくできるかどうかよりも、やってみようとしたこと自体がとても大切です。大人の目には小さな変化に見えても、子どもにとっては大きな一歩であることが多くあります。

つい手を出したくなる気持ちと向き合う

私たち大人は、

  • 時間がない
  • 失敗させたくない
  • 危ないから先にやってあげたい

という思いから、つい先回りしてしまいがちです。

しかし、毎回大人がやってしまうと、子どもは「やろうとする前に終わってしまう」経験を重ねることになります。
これは、意欲の芽を小さくしてしまう可能性もあります。

待つことは簡単ではありませんが、

  • 数秒だけ手を止める
  • 途中まで子どもに任せる
  • 失敗してもやり直せる環境を用意する

といった小さな工夫が、お子さんの「じぶんで!」を守る関わりにつながります。

障害の重いお子さんの「じぶんで!」

身体的・知的に障害の重いお子さんの場合、

  • 自分でできることが限られている
  • 動きがとても小さい
  • 意図が分かりにくい

と感じることがあります。

しかし、

  • 視線を向ける
  • 指先がわずかに動く
  • 表情が変わる

といった反応も、その子なりの「じぶんで」の表現です。

例えば、

  • スプーンを完全に持てなくても、手を添える位置を自分で選ぶ
  • スイッチを押すために視線を合わせる

こうした行動も、主体的な選択として大切にします。

「全部一人でやる」ことを目標にするのではなく、「その子が関ることができた部分を増やす」という視点が、支援者や保護者には求められます。

発語のないお子さんの「伝えたい」を受けとめる

発語がない、または少ないお子さんでも、「じぶんで!」や「いやだ」、「やりたい」という気持ちは、さまざまな形で表れます。

  • 手を伸ばす
  • 押しのける
  • 泣く・声を出す
  • 表情や体の緊張

これらはすべて大切なコミュニケーションです。

支援の中では、

  • 「これがしたかったんだね」と言葉にする
  • ジェスチャーや絵カード、写真を使う
  • 同じやり取りを繰り返して分かりやすくする

ことで、「伝わった」という経験を積み重ねていきます。

「ことばが出てから」ではなく、今ある手段での自己表現を尊重することが、「じぶんで!」を育てます。

成功よりも「やってみた」を認める

大人はつい「できた・できない」で評価してしまいますが、

  • 途中までやった
  • やろうとした
  • 前より少し長く関われた

これらも立派な成長です。

「できたね」だけでなく、

  • 「やってみたね」
  • 「自分で選んだね」
  • 「諦めなかったね」

といった声かけは、結果に左右されない自己肯定感につながります。

家庭と事業所で共有したい視点

「じぶんで!」を応援するためには、家庭と児童発達支援事業所が同じ方向を向いて関わることがとても大切です。どちらか一方だけが頑張るのではなく、それぞれの役割やできることを理解し合いながら、子どもを中心にした支援を積み重ねていきます。

家では時間に余裕のある場面で任せる

朝の忙しい時間帯ではなく、休日や帰宅後など、少しでも気持ちに余裕のある場面で「やってみる時間」をつくります。全部を任せる必要はなく、最初の一動作だけ、選択だけなど、無理のない範囲で大丈夫です。

事業所では成功しやすい環境を整える

子どもの発達段階や特性に合わせて、道具の大きさや配置、声かけのタイミングを工夫します。「できた」という経験を積みやすい環境をつくることで、自信や意欲につなげていきます。

できない日があっても責めない

体調や気分、環境の変化によって、子どもの様子は大きく変わります。昨日できたことが今日はできない、やろうとしないということも、発達の過程ではよくあることです。その日の姿をそのまま受けとめることが、安心感につながります。

家庭と事業所で「今日は難しかった」「ここは少しできた」といった情報を共有し合うことで、子どもへの理解が深まり、無理のない支援を続けることができます。

おわりに

「じぶんで!」という気持ちを尊重することは、将来の自立のためだけのものではありません。

それは、「自分の気持ちや存在が大切にされている」と感じるための、今この瞬間の経験です。

児童発達支援事業所として、私たちはこれからも、

  • 小さなサインを見逃さず
  • 子どものペースを尊重し
  • 一緒に喜び、時には一緒に立ち止まりながら

一人ひとりの「はじめてのじぶんで!」を応援していきたいと考えています。

FAQ(よくあるご質問)

Q1. 危なくても「じぶんで」に任せた方がいいですか?

A. 安全面は最優先です。危険な場合は環境を調整したり、身体介助を行いながら「関われる部分」を一緒に探します。無理に任せる必要はありません。

Q2. 全然やろうとしない場合はどうしたらいいですか?

A. 「やりたくない」も大切な意思表示です。疲れや不安、難しさが原因のこともあります。タイミングや方法を変えながら、安心できる関わりを続けていきます。

Q3. 発語がないと「じぶんで」の気持ちは分かりにくくないですか?

A. ことば以外の表現はとても豊かです。表情・視線・体の動きを丁寧に見ていくことで、その子なりの意思を受け取ることができます。

Q4. 家ではつい全部やってしまいます…

A. それも自然なことです。毎回でなくても、1日の中で1つだけ任せてみるなど、無理のない形からで大丈夫です。

Q5. できることが増えなくて不安です

A. 成長は一直線ではありません。今は見えにくい力が、後から大きく伸びることもあります。気になることは、いつでも事業所にご相談ください。

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