こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。
子どもたちにとって「公園」は、心も体も思いきり動かせる貴重な場所です。
発語がまだなかったり、身辺自立が進んでいないお子さんであっても、遊具を通じた体験が「感覚統合」や「身体感覚の発達」に大きな役割を果たします。
今回は、公園の遊具を活かしたダイナミックな感覚あそびについて、保護者の皆さまにわかりやすくご紹介します。
ダイナミックな感覚あそびとは?

「ダイナミック」と聞くと少し大げさに感じるかもしれませんが、ここでいう「ダイナミックな感覚あそび」とは、体全体を大きく使い、バランス感覚や筋力、空間認知を刺激するあそびのことを指します。
例えば、
- すべり台をすべる
- ブランコに乗る
- 鉄棒にぶら下がる
- ジャングルジムを登る
これらの動きには「揺れる」「回転する」「落ちる」「登る」などの要素が含まれており、子どもたちの脳と体をつなぐ感覚の発達を支えてくれます。
公園遊具でできる感覚あそびの具体例
1. ブランコでの前庭覚あそび

ブランコは「揺れ」を楽しむ代表的な遊具です。
揺れることで、耳の奥にある「前庭覚(バランスを感じる感覚)」を育てることができます。
- おすすめの遊び方 : お子さんを抱っこして一緒に乗る、横揺れや斜め揺れに挑戦してみる
- ねらい : バランス感覚の発達、不安定さへの慣れ
※発語がまだのお子さんでも、ブランコの揺れを感じながら「きゃっ」「あー」と声を出すきっかけになることもあります。
2. すべり台での重力あそび

すべり台は「落ちる感覚」を体験できる遊具です。階段を登る動作と滑り降りる動作が組み合わさっているため、全身を使った運動になります。
- おすすめの遊び方 : 前向きだけでなく、後ろ向きで登る、親子で手をつないで一緒にすべる
- ねらい : 筋力アップ、重力に身を任せる体験、姿勢保持の力を育てる
※階段を登ることが難しい場合は、保護者の方が抱っこして一緒にすべるところから始めても大丈夫です。
3. ジャングルジムや遊具登りでのボディイメージ強化

ジャングルジムや登り遊具は「自分の体をどう動かせばいいか」を考える練習になります。
- おすすめの遊び方 : 一段ずつ手を添えながら登る、上まで行けなくても途中で達成感を味わえるようにする
- ねらい : 空間認知、ボディイメージ(自分の体の大きさや位置の感覚)を育てる
※重度のお子さんの場合は、登る動作だけでなく「ぶら下がる」体験だけでも十分に効果があります。
4. 鉄棒でのぶら下がりあそび

鉄棒にぶら下がるだけでも腕や体幹の筋肉が刺激されます。
- おすすめの遊び方 : 数秒ぶら下がる、左右に揺れる
- ねらい : 握力、上半身の筋力、体幹の安定
※発語が少ないお子さんの場合、ぶら下がることで息を吐き出しやすくなり、声が出やすくなることもあります。
5. 砂場での感覚統合あそび

遊具ではありませんが、砂場も大切な感覚遊びの場です。砂の触感や温度を感じることは「触覚」を育てます。
- おすすめの遊び方 : バケツに砂を入れて持ち上げる、トンネルを作る
- ねらい : 触覚の刺激、指先の巧緻性
※手に砂をつけるのが苦手なお子さんは、スコップやカップを使って少しずつ慣れていきましょう。
安全に遊ぶためのポイント

公園遊具は魅力的ですが、遊び方を誤るとケガのリスクもあります。安心して遊ぶために、以下の点に注意してください。
- 近くで必ず見守る
- その日の体調に合わせて無理をさせない
- 「できた!」を一緒に喜び、挑戦した気持ちを尊重する
重度のお子さんでも楽しめる工夫

「うちの子はまだ歩けないから、公園遊具は難しい」と思われる保護者の方もいるかもしれません。しかし、少し工夫をすれば一緒に楽しむことができます。
- 抱っこでブランコ
-
親子で一緒に揺れることで安心感と刺激を両立できます。揺れの速さや大きさを調整しながら、お子さんが安心して楽しめるレベルを見つけてみましょう。
- すべり台を一緒にすべる
-
保護者が後ろからしっかり支えてあげれば大丈夫です。繰り返しすべることで「次はどうなるのかな?」と予測する力も育まれます。
- 鉄棒に手を添える
-
保護者が持ち上げて一瞬ぶら下がるだけでも十分に達成感があります。短い時間でも「できた!」の経験が自信につながります。
- 砂場での代替遊び
-
座ったままでもできる砂あそびは、重度のお子さんにとっても安心できる活動です。スコップを持つ、砂をすくうなど小さな動きから始められます。
- バランスあそび
-
公園の芝生や柔らかい地面で、抱っこしたまま軽く体を左右に揺らすだけでも「体が動く感覚」を味わえます。遊具が使えなくても、同じ空間で一緒に楽しむことが大切です。
保護者の方が「楽しいね」「できたね」と声をかけることで、より豊かな体験となり、親子の絆も深まります。
よくある質問(FAQ)

Q1. 公園遊具で遊ぶとき、どのくらいの時間が適切ですか?
A1. 年齢や体力によりますが、2〜5歳のお子さんであれば20〜30分程度を目安にしましょう。疲れすぎる前に切り上げることが大切です。
Q2. 発語がない子どもでも効果がありますか?
A2. はい。遊具を通じて身体感覚が育つことで、発語のきっかけになる場合があります。声を出したり、呼吸のリズムが整うことも期待できます。
Q3. 公園で遊ぶときに準備しておくとよい物は?
A3. 水分補給用の飲み物、タオル、帽子、着替えなどがおすすめです。砂場で遊ぶ場合はスコップやカップがあると便利です。
Q4. 遊具が怖くて遊べない場合はどうしたらいいですか?
A4. まずは近くで見てみる、触ってみるなど「小さなチャレンジ」から始めましょう。抱っこして一緒に体験するのも効果的です。
Q5. 雨の日など公園に行けないときはどうすればいいですか?
A5. 室内で布団の上でゴロゴロする、バランスボールに座るなどで同じような感覚を育てられます。遊具がなくても工夫次第で感覚あそびは可能です。
まとめ

公園の遊具は、ただ体を動かすだけでなく、子どもたちの感覚や心の発達を促す大切なツールです。ブランコ、すべり台、鉄棒、ジャングルジム、砂場。それぞれの遊びには意味があり、子どもたちに必要な「感覚の栄養」を与えてくれます。
保護者の方も一緒に体験しながら「今日はこんなことができたね」と振り返ることで、お子さんの小さな成長を実感できます。
お子さんにとって公園での時間が「楽しい!」「もっとやりたい!」につながるよう、安心・安全に工夫して遊んでみてください。
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