こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。
子どもの言葉がなかなか出てこないと、「うちの子だけ遅れているのでは…?」と不安になってしまいますよね。
特に、周りのお子さんがどんどん単語を増やしたり、おしゃべりを始めたりしていると、比較してしまうのは自然なことです。
ただ、言葉の発達は「とても個人差が大きい領域」で、早いから良い・遅いから悪いということではありません。
とはいえ、親として少しでもできることがあるなら、取り入れてあげたいと思うのも正直な気持ちだと思います。
単に楽しい時間を作るだけでなく、脳の認知発達・聴覚処理・模倣行動・情緒の安定など、言葉の発達に欠かせない要素がバランスよく育まれるためです。
この記事では、音楽・リズムあそびが言葉に効く理由や、今日から家庭でできる実践アイデアなどを、「優しく」「わかりやすく」「根拠にもとづいて」整理しています。
小さな積み重ねが、お子さんの“ことばの芽”を育てる力になります。
発語が遅れる理由と言葉の発達の基礎

発語の目安と個人差の幅
言葉の発達は、子どもの性格・環境・脳の成熟度などが複雑に絡み合っています。
そのため、月齢ごとの発語目安はあくまで平均値であり、前後に大きくずれていても、それだけで問題とは言い切れません。
一般的な目安は以下の通りですが、早い・遅いは本当にさまざまです。
- 1歳頃:意味のある単語が1〜3語(例:「まんま」「ブーブー」)
- 1歳半:語彙が増え、自分の気持ちを指さしや声を使って伝える
- 2歳頃:2語文(「ママ きた」「ワンワン いた」)が出始める
- 3歳頃:簡単な会話ができ、語彙も急激に増える
この成長には「半年〜1年ほどの個人差」が珍しくありません。
また、言葉は「耳→理解→模倣→発語」というステップで育つため、発語だけでなく、
- 名前を呼ばれて振り向くか
- 音に反応するか
- 意味は理解しているか
- 指さしなどのコミュニケーションがあるか
こうした“前段階の力”もとても大切です。

発語の遅れにつながる主な要因
発語が遅れる背景には、以下のような幅広い理由があります。
① 聴力の課題
慢性的な中耳炎などで音が聞こえにくい状態が続くと、言葉の理解が遅れる可能性があります。
「聞こえる=理解できる」ではないため、聴力チェックはとても大切です。
② 発達性言語障害
言葉を理解したり、組み立てたりする能力に特性があるケース。
早期の支援で伸び方が大きく変わります。
③ ASD(自閉スペクトラム)や発達特性
模倣行動が出にくい・言葉以外の興味が異常に強いなど、発達に特性がある場合、発語がゆっくりな傾向があります。
④ 環境要因
テレビ・動画を長時間見る環境の場合、「言葉をやりとりする機会」が減り、発語が伸びにくくなることがあります。
⑤ お子さんの気質
慎重・内向的・観察タイプの子は、十分に理解してから言葉を出すため、発語が遅めになることもあります。
どの理由も「親の育て方」とは無関係です。
大切なのは、お子さんに合わせたサポートを知ることです。
音楽・リズムあそびが発語に与える影響

音楽が言葉の土台づくりに関わる理由
特に以下の能力が高まりやすいと言われています。
● 聴覚処理能力
音を“聞き分ける力”が育つと、同じ音でも意味の違いに気づけます。
例:
「ぱ」と「ば」
「か」と「た」
この聞き分けができることが、言葉の理解の第一歩です。
● リズム感覚
リズムは言葉のテンポ、アクセント、区切りの理解につながります。
話すときの「間」や「抑揚」も、リズムからの学びが影響します。
● 記憶力・注意力
歌詞を覚えたり、音に合わせて動いたりする過程で、ワーキングメモリ(短期記憶)が強化されます。
幼少期に音楽に触れた子は「言語理解」「音の認識」「記憶力」が高まりやすいという研究結果もあります。
音楽は「まねっこ」を自然に引き出す

発語に最も必要な能力のひとつは「模倣(まねっこ)」です。
音楽やリズムに合わせて体を動かすと、模倣がとても出やすくなります。
例:
「ぱ!ぱ!ぱ!」(手拍子)
「トントントン!」(太鼓)
これは言葉の“音の単位”を体で感じながら練習できるため、発語につながりやすいのです。
さらに、音楽には感情を動かす力があるため、お子さんが楽しいと感じることで「もっとやりたい!」という意欲が生まれます。
意欲は学びの最大の原動力です。
家庭でできる!発語を促す音楽・リズムあそびの実践
ことばリズム手遊びの活用

手遊び歌は、手の動き・表情・音が結びついて言葉の理解が進む、一石二鳥な遊びです。
おすすめの手遊び:
● グーチョキパーでなにつくろう
動きと単語がセットになっていて、意味理解が深まりやすいです。
● いとまきまき
反復する言葉が多く、語彙が定着しやすいです。
● パンダうさぎコアラ
動物の名前は発語が出やすい分野。真似しやすい音が多いのもポイント。
ポイントは、必ず「子どもの目を見る」「笑顔でゆっくり」「誇張した動き」で行うことです。
視覚情報が増えるほど、言葉の理解が進みます。
日常生活の行動を歌にする

ルーティン行動は、言葉の定着にとても強い効果があります。
毎日同じ動作を、同じメロディで行うことで、
- 行動の理解
- 語彙の定着
- コミュニケーションの学習
が同時に進むからです。
例えば、
- お風呂:「おふろでちゃぷちゃぷ いいきもち〜」
- 食事:「いただきますのうた」
- 靴をはく:「くつをはこう〜 トントントン」
このようなルーティンに歌をつけることは、発語の遅い子に特に効果が出やすいアプローチです。
専門的な支援の活用

音楽療法士による個別セッション
セッションでは、
- ピアノに合わせて動く
- 歌を使って名前を呼ぶ
- ドラムでリズム模倣をする
- 楽器を使って感情表現を引き出す
など、子どもの特性に合わせたプログラムが組まれます。
発達支援センター・児童発達支援事業所の利用
必要に応じて、
- 言語聴覚士(ST)
- 作業療法士(OT)
- 発達支援専門員
につないでもらうことができます。
音楽を取り入れた療育プログラムを提供している事業所も増えており、家庭と専門機関の両方でサポートすることで伸びが大きくなります。
よくある質問(FAQ)

- Q1:発語が遅い=発達障害ですか?
-
必ずしもそうではありません。
発語だけで判断するのは難しく、以下のようなサインと合わせて見ることが一般的です。- 指さしをほとんどしない
- 人とのやりとりが少ない
- 呼んでも反応が薄い
- 模倣が出にくい
一つでも当てはまると即問題というわけではありません。
ただ、心配が続く時は早めに相談すると安心につながります。 - Q2:毎日リズムあそびをしたほうがいい?
-
毎日でなくても大丈夫です。
むしろ、短時間でも「楽しく継続」するほうが効果があります。
「親子で楽しむ」という姿勢が、子どもの脳を一番育てます。 - Q3:親が音楽に詳しくないと難しい?
-
全く問題ありません。
むしろ、「なんとなくのメロディ」「即興の歌」で十分です。
お子さんは音の正確さより、親の表情や声の温度感に反応します。
音楽の力で「ことばの芽」を育てよう

発語が遅れていると、どうしても心配が膨らんでしまいますよね。
しかし、言葉は“複数の力が重なって育つ”もので、音楽・リズムあそびはその土台を楽しみながら育てられる、とても優れたアプローチです。
- 聞く力
- 模倣の力
- リズムの感覚
- 感情の動き
- 親子のコミュニケーション
これらが音楽を通してバランスよく育ち、発語につながっていきます。
お子さんにはそれぞれのペースがあります。
そして親子で積み重ねる“音の時間”が、発語の準備を着実に整えていきます。
今日から、「ことば育て」を音楽と一緒に楽しんでみませんか?
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