「いや!」は子どもの大切な自己表現・成長サイン

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

「児童発達支援の現場では、日々の活動や生活の中で子どもから「いや!」という言葉や態度が返ってくる場面は少なくありません。

例えば、片付けの時間になっても遊びをやめられない、着替えや食事を嫌がる、活動の切り替えを拒むなど。
こうした場面に出会ったとき、大人は戸惑い、「どうしたら言うことを聞いてくれるのだろう」と悩むことがあります。

しかし、「いや!」は単なるわがままではなく、子どもの心のサインであり、発達の過程で自然に現れる自己主張の一つです。


この記事では、その背景や意味を理解しながら、無理なくルールを伝える方法を、児童発達支援の現場の視点から詳しく解説します。

目次

なぜ子どもは「いや!」と言うのか

自己主張の芽生えと発達段階

2〜3歳頃から始まる第一次反抗期は、自我が芽生える時期です。

「自分でやりたい」「選びたい」という欲求が強まり、行動や選択において自分の意思を通そうとします。
発達に特性がある子どもも同様で、自分なりの世界観やこだわりを守るために「いや!」が出やすくなります。
これは、自分と他者の境界を認識し始めた証拠とも言えます。

感覚の過敏さや環境要因

発達障害や感覚過敏のある子どもは、音・光・触覚など特定の刺激に強く反応します。

例えば、服のタグがチクチクする、掃除機の音が不快、蛍光灯の光がまぶしい…こうした感覚的な不快さが「いや!」の引き金になります。
また、予定外の出来事や人の多い空間など、環境の変化によるストレスも拒否行動を引き起こします。

言語能力や感情コントロールの未発達

感情や状況を的確に言葉で説明するのは、大人でも難しいことです。

子どもはなおさら、自分の不安・怒り・疲れを言葉にできず、単純な「いや!」で全てを表現してしまいます。
これは感情調整の力がまだ育っていない証拠であり、困っているサインでもあります。

「いや!」を受け止める第一歩

共感の言葉をかける

頭ごなしに否定するのではなく、まずは気持ちを認めます。

  • 「やりたくないんだね」
  • 「びっくりしたんだね」
  • 「イヤな気持ちになったんだね」

こうした言葉は自分の気持ちをわかってくれたという安心感を与えます。

非言語コミュニケーションの活用

子どもの目線に合わせてしゃがむ、落ち着いた声のトーンで話す、表情を柔らかくするなど、非言語的な配慮は大きな安心につながります。

特に言葉でのやり取りが苦手な子には効果的です。

間を置く

すぐに行動を変えさせようとすると、抵抗が強まることがあります。

数十秒〜数分待つだけで、気持ちが落ち着き、受け入れやすくなることもあります。

ルールを伝えるための工夫

肯定的な言い換え

禁止形ではなく、望ましい行動を直接伝えます。

  • 「走らないで」
  • 「歩こうね」
    肯定的な言葉は理解しやすく、行動にもつながりやすいです。

視覚支援の活用

絵カード、写真、スケジュール表を使えば、言葉での理解が難しい子どもにもわかりやすくルールを伝えられます。
「今」「次」「その次」と視覚的に見せることで、見通しが持てます。

小さな選択肢を与える

「赤い椅子と青い椅子、どっちに座る?」など、ルールの中で選べる余地を作ります。
選択肢があることで、自主性と安心感を両立できます。

現場での具体的な対応例

支援の現場では、「子どもが苦手な場面」をどう工夫してサポートするかがとても大切です。ここでは、実際に行った支援の例を2つ紹介します。

事例1:活動の切り替えが苦手なAくん

Aくんは遊びをやめて片付けることが苦手で、毎回「いや!」と強く抵抗していました。突然の切り替えに不安を感じていたのです。
そこで支援者は、以下の工夫を取り入れました。

  • 片付けの10分前に「もうすぐ終わりだよ」と予告する
  • タイマーを使い、残り時間を数字や音で分かるようにする
  • 片付けが終わった後に、好きな遊びを用意しておく

このように「見通し」と「楽しみ」を組み合わせることで、Aくんは次第に切り替えを受け入れられるようになりました。

結果として、抵抗する回数が減り、片付けがスムーズに行えるようになったのです。

事例2:集団活動での拒否が多いBちゃん

Bちゃんは工作が苦手で、集団での活動になると「やりたくない」と拒否してしまうことが多くありました。
支援者は無理に参加させるのではなく、少しずつ安心して取り組める工夫をしました。

  • 活動が始まる前に、完成品や作るものの写真を見せてイメージを持たせる
  • 参加時間を最初は数分だけに短く設定する
  • 「できた!」という経験を積ませ、少しずつ時間や内容を広げていく

こうした支援を続けることで、Bちゃんは少しずつ活動に前向きになり、参加できる時間が延びていきました。

最終的には「みんなと一緒にやる楽しさ」を感じられるようになり、参加率が大きく向上しました。

事例のまとめ

AくんやBちゃんの例から分かるのは、子どもが苦手な場面に対して「予告」「視覚的な工夫」「成功体験」を組み合わせることが有効だということです。
子どものペースに寄り添い、小さな一歩を積み重ねることで、苦手な場面も少しずつ「できる」に変えていけます。

「いや!」対応で避けたいこと

  • 怒鳴る・威圧する
    恐怖で従わせても納得は得られず、信頼関係を損ないます

  • 気持ちを無視してすぐ指示
    背景の感情を無視すると、拒否が強まり行動改善が難しくなります

  • 罰で好きな活動を奪う
    一方的に奪うと反発や不信感を招き、支援への協力意欲が低下します

家庭との連携で一貫性を持たせる

  • 連絡帳や写真で共有
    日中の様子を具体的に伝え、家庭でも会話や支援が続けやすくなります。

  • 家庭の困りごとを反映
    家庭での課題を聞き取り、現場で練習や工夫を行い生活全体を支えます。

  • 共通のルールと言い方
    同じ言葉や手順を使うことで、子どもは混乱せず安心して行動できます。

支援者自身の心のケア

  • 相談・共有
    困った場面や成功例を話し合い、安心感と新しい工夫を得られます。

  • 定期的な振り返り
    週単位で関わりを見直し、改善点や良かった点を整理します。

  • 休息の確保
    十分な休養や趣味の時間を取り、大人の安定を保つことが支援の土台です。

FAQ

Q1. 「いや!」が多いのはわがままだからですか?

いいえ。多くの場合は自己主張の発達や不安、感覚の過敏さなどが背景にあります。理由を理解して対応することが大切です。

Q2. 拒否が強いときはどうすればいいですか?

まずは気持ちを受け止め、落ち着く時間を確保します。そのうえで、視覚支援や選択肢を用いた声かけで促すと効果的です。

Q3. 家庭と施設で対応が違うとどうなりますか?

対応が異なると混乱や拒否が強まることがあります。共通の言葉やルールを決め、一貫性のある支援を行うことが重要です。

結論:拒否は成長のチャンス

「いや!」は、自己主張・感覚特性・環境要因・感情調整の未熟さなど、多くの背景が絡み合って生まれます。

まずは受け止め、共感し、その後にルールをわかりやすく伝えることで、子どもは安心して行動を変えていけます。

児童発達支援でも家庭でも、「いや!」を成長の一歩に変える関わりを大切にしましょう。

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