視線やジェスチャーで伝える力を育てる方法

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

言葉をまだ話せない赤ちゃんが、お母さんの目を見つめたり、手を伸ばしたりする姿を想像してください。
その小さな仕草は、れっきとした「コミュニケーション」の始まりです。
発語が遅れているお子さんや、重度の障害をもつお子さんにとっても、視線やジェスチャー(身振り・手振り)は、意思を伝えるためのとても大切な手段となります。

言葉に頼らないコミュニケーションの力を育てることは、子どもたちの自己表現を支え、自尊心を高める鍵にもなります。

本記事では、「視線やジェスチャーで伝える力を育てる方法」について、特別支援の視点を含めて詳しく解説します。

目次

視線やジェスチャーがもつ“伝える力”とは?

非言語コミュニケーションの基礎

非言語コミュニケーションとは、言葉を使わずに意思や感情を伝える方法のことです。

たとえば、次のような行動が含まれます。

  • 視線(相手を見る、物を指し示すように視線を送る)
  • 表情(にっこり笑う、眉をひそめる)
  • ジェスチャー(手を伸ばす、バイバイをする)
  • 姿勢や動き(近づく、身体を反らす)

子どもたちは、言葉を覚える前からこれらを使って「お腹すいたよ」「それ欲しい」「もう嫌だ」などを伝えようとします。
特に、音声言語による表現が難しいお子さんにとって、非言語の力はまさに言葉の代わりとなります。
この力を育てていくことは、コミュニケーション全体の力を高めることにつながります。

発語が難しい子どもたちにとっての視線やジェスチャーの意味

発語が遅れている、あるいは重度の障害があるお子さんにとって、視線やジェスチャーは意思表示の主な手段です。

  • 目線で「これが欲しい」と示す
  • 手を伸ばして「助けて」と伝える
  • 手を振って「バイバイ」を表現する

こうしたサインを大人が受け止め「あなたの思いをわかったよ」と反応することで、お子さんは「伝わった!」という成功体験を積み、さらにコミュニケーション意欲が高まります。

視線・ジェスチャーの力を育てる基本ステップ

STEP
「見る力」を育てる

視線によるコミュニケーションの土台は「相手を見る力」です。
次のような関わりが有効です。

  • 顔の近くで話しかける
  • 表情を豊かに使う
  • 鮮やかな色の玩具で視線を引く

視線が合った瞬間に「見てるね!うれしいな」と声をかけることで、「見る=伝わる」という感覚が育ちます。

STEP
日常でジェスチャーを取り入れる

日常生活そのものが学びの場になります。

  • 「バイバイ」「ちょうだい」「もっと」などの基本ジェスチャー
  • 食事や遊びの場面で繰り返し使う
  • 大人はジェスチャーに言葉を添えて見せる

例えば、「もっと食べたい?“もっと”はこうだよ」と大人がやって見せると良いでしょう。

STEP
わかりやすく反応し、成功体験を積ませる

大人の反応が「伝わった!」の感覚を生みます。

  • 視線でおもちゃを見たら「これ?」と確認
  • 手を伸ばしたら「はい、どうぞ」と渡す

発語が難しいお子さんでは、この一連のやり取りが言葉の会話と同じ役割を果たします

STEP
選択肢を提示して“選ぶ力”を育てる

視線や指差しで選ぶ練習を取り入れます。

  • おやつを2つ見せて「どっち?」と聞く
  • 絵本を2冊見せて目線で選んでもらう

これにより「自分で選べる」「伝えられる」という自信が育ちます

STEP
AAC(拡大代替コミュニケーション)の活用

重度の障害がある場合は、補助ツールが力になります。

  • 絵カードや写真カード
  • コミュニケーションボード
  • 視線入力装置

専門家と連携しながら取り入れることで、伝える手段の幅がさらに広がりま

保護者・支援者ができる環境づくり

「待つ」「観察する」姿勢を大切にする

大人が先回りして動いてしまうと、お子さんが「伝える必要性」を感じられなくなります。

  • 飲み物を手の届かない位置に置き、サインを待つ
  • 子どもの表情や視線の動きをよく観察する

少しの待つ時間が、伝える行動を引き出します。

家庭でできる簡単な遊び

遊びは自然にコミュニケーションを引き出します。

  • 「いないいないばあ」:視線と表情のやり取り
  • ボール遊び:相手を見る・順番を待つ
  • 絵本読み:視線を向けたページに反応する

お子さんの小さな行動に対して大人が喜んで反応すると、意欲が高まります。

支援を続けることが安心につながる

発達には個人差があり、特に障害がある場合は結果がゆっくりです。
それでも支援を続けることで少しずつ変化が積み重なります。

  • 日々の気づきを記録する
  • 支援チームと共有し、一貫した関わりを行う

記録は保護者・支援者にとっても励みになります。

事例から学ぶ

事例1:視線でYES/NOを伝えられるようになったAちゃん

重度の脳性麻痺がある4歳のAちゃんは、視線の上下でYES/NOを表現できるようになりました。
支援者の根気強い働きかけにより、1年後にはほぼ確実に意思表示ができるようになり、関係性も大きく変化しました。

事例2:「もっと遊びたい」をジェスチャーで伝えたBくん

発語がゆっくりな3歳のBくんは、保育士が繰り返し見せたジェスチャーを、ある日自分から真似し、気持ちを伝えられるようになりました。
「泣くことでしか表現できなかった気持ちが、ジェスチャーで伝えられる!」という体験が自信につながりました。

よくある質問(FAQ)

視線やジェスチャーだけで十分にコミュニケーションできますか?

はい。必要に応じてAAC(絵カードなど)と組み合わせれば、かなり高度な意思伝達も可能です。

忙しくても工夫できますか?

食事やお風呂などの短時間の「向き合いタイム」だけでも十分効果はあります。

反応が見られないときは?

焦らず専門機関に相談しましょう。療育センター、発達支援センターなどの専門家がサポートしてくれます。

すべてのお子さんに“伝わる喜び”を

言葉が話せなくても、気持ちは必ず存在します。視線やジェスチャーという“ことば”を育てることは、お子さんの「自分らしさ」を支える大切な力です。

発語が難しいお子さんや障害があるお子さんにとって、このアプローチはコミュニケーションの扉を開く鍵となります。
大人がそのサインを見逃さず、喜びと温かさで応えることが、お子さんの「伝えたい力」を大きく伸ばしていきます

今日から、視線やジェスチャーにもっと注目してみませんか?
「伝わるって、嬉しい!」という体験は、お子さんの未来を確かに変えていきます。

はぐちるの森は、こどもたちの明日を考えるブログ

子どもたちの発達をゆっくり支援していく施設「はぐちるランド」を運営しています。
はぐちるランドは、子供たち一人ひとりがこれからの未来を楽しくのびのびと生活できるよう援助、療育を行う施設です。

また、児童発達支援施設の開設・運営をトータルサポート
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