こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。
日々子どもたちと関わる中で、
この子はどうして急にパニックになるのだろう?
触れられることを嫌がるのはなぜ?
と感じることはありませんか?
今回は、感覚に敏感すぎたり、逆に鈍く感じたりする特性を持つ子どもたちとの関わり方について、児童発達支援の視点からわかりやすく解説し、支援や家庭でできる具体的な工夫をご紹介します。
感覚過敏・感覚鈍麻とは?その違いと特徴

感覚には、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚のいわゆる五感に加え、固有感覚(身体の動きや筋肉の感覚)や前庭感覚(バランスや姿勢の感覚)も含まれます。
これらの感覚が人よりも強く、または弱く感じられる状態が「感覚過敏」や「感覚鈍麻」です。
感覚過敏とは

感覚過敏の子どもは、次のような反応を示すことがあります:
- 小さな音にも驚いて耳をふさぐ(聴覚過敏)
- 服のタグや肌触りに強く反応して着ることを嫌がる(触覚過敏)
- 明るい光をまぶしく感じて目を細める(視覚過敏)
- 食べ物の食感やにおいに敏感で偏食が強い(味覚・嗅覚過敏)
彼らにとっては、私たちが「普通」と思っている環境が、常に刺激にあふれたつらい場所に感じられているのです。
感覚鈍麻とは

一方、感覚鈍麻の子どもは、感覚への反応が薄いため、次のような行動が見られます:
- 強くぶつかっても痛がらない
- 食事中、味を感じにくくて濃い味を好む
- ずっと動いていないと落ち着かない(前庭感覚や固有感覚が鈍い)
鈍麻の子は「刺激を求めて動く」ことが多く、周囲には落ち着きがないように映るかもしれません。
しかし、これは「感覚を取りに行く行動」とも言えるのです。
感覚過敏・鈍麻の子どもと関わる際の大切な視点

行動の背景にある「感じ方」を尊重する
感覚特性がある子どもは、本人の意思とは関係なく、環境の中の刺激に影響を受けやすい状態にあります。
そのため、「わがまま」「気にしすぎ」「落ち着きがない」といった表面的なラベルを貼るのではなく、なぜその行動をしているのか?という視点で関わることがとても大切です。
安心できる環境づくりが土台になる
感覚過敏の子どもにとって、「静かで照明が柔らかい空間」「触感の良い素材のマットやクッション」などは、大きな安心につながります。
一方、鈍麻の子どもには、「トランポリンやバランスボール」「身体をしっかり使う遊び」などで感覚を満たせる環境が必要です。
「できない」ではなく「方法が違う」と捉える
例えば、ハサミを使う活動で音に敏感な子どもが耳をふさぐなら、防音イヤーマフを用意したり、別室で活動したりするなどの調整が考えられます。
「この子にはできない」ではなく、どうしたらその子らしく参加できるかを考える柔軟さが支援の鍵になります。
具体的な関わり方の工夫

感覚過敏の子どもへの配慮
- 音が苦手な子には静かなスペースを設ける、またはイヤーマフの使用を促す
- 触覚に敏感な子には、タオルやブランケットなど好みの素材を選べるようにする
- 匂いに敏感な子には、香りの強い消臭剤や清掃用品を控える
- 偏食のある子には、見た目やにおいを工夫しながら少しずつ新しい食材に挑戦する
感覚鈍麻の子どもへの支援
- 重い荷物を運ぶ、身体を使った遊び(例:押す・引く・よじ登る)を日常に取り入れる
- 手指の感覚が鈍い子には、感触の違う素材(粘土、スライム、ビーズ)を使って活動する
- 食事中に味を感じにくい場合は、温度や食感にバリエーションを持たせる
共通して大切なのは「選べる」こと
そのため、「これがダメなら、これならどう?」といった選択肢を与えることで、自分の感覚に合った方法を自ら選ぶ経験が積み重なり、自己理解や自己調整力へとつながっていきます。
保護者との連携のポイント

家庭と支援の場が連携することで、子どもにとっての一貫した安心感が育まれます。以下のようなコミュニケーションを大切にしましょう。
- 日々のちょっとした反応(音に驚いた、服を嫌がったなど)を記録し、共有する
- 家庭での様子や好みを尋ね、活動や支援計画に反映する
- 保護者にとっても「特性を理解すること」が最初の一歩であることを伝える
- 一緒に「うまくいった工夫」を見つけ、共有し合う関係を築く
感覚特性は「課題」ではなく「個性」

感覚過敏や感覚鈍麻を持つ子どもたちは、私たちとは違う世界の感じ方を持って生きています。それは時に困難を伴いますが、同時にその子にしかない「特別な感受性」や「独自の感覚体験」でもあります。
大人がその特性を「問題」と決めつけるのではなく、その子が快適に過ごすために必要な理解と配慮をすることこそが、インクルーシブな支援の第一歩です。
よくある質問(FAQ)

Q1:感覚過敏や感覚鈍麻は、発達障害のある子どもだけに見られるものですか?
A1:いいえ、発達障害の診断がある子どもに多く見られる傾向はありますが、感覚過敏や鈍麻は診断の有無にかかわらず誰にでも起こりうる特性です。
たとえば、音に敏感な人、寒さを感じにくい人など、一般の子どもや大人にも感覚の偏りは見られます。
そのため、「障害の有無」で線引きせず、その子自身の感じ方を理解することが大切です。
Q2:感覚過敏の子どもがパニックを起こしたとき、どう対応すれば良いですか?
A2:まず大切なのは落ち着ける環境に誘導することです。
無理に話しかけたり、状況を説明しようとするよりも、静かな空間に移動し、安心できる物(ブランケット、ぬいぐるみなど)を手渡すことが効果的です。
状況が落ち着いたあとに、「何がつらかったか」「どんなときに安心できたか」を一緒に振り返ることで、次回への対応策も見えてきます。
Q3:支援の中で他の子と同じ活動が難しい場合、どうすれば良いでしょうか?
A3:無理に全員一斉の活動にこだわる必要はありません。
代替活動や調整された方法を取り入れることで、子どもは安心して参加できます。
たとえば、手が汚れる感触が苦手な子にはスプーンを使わせる、音が苦手な子にはヘッドフォンをつけるなどの個別対応を柔軟に取り入れていきましょう。
感覚の違いを認め合う社会へ——支援者としてできること

私たち支援者ができることは、「感覚の違いを理解し、尊重する」という姿勢を持ち続けることです。
子どもたちは、自分の感覚が尊重され、安全だと感じる環境の中でこそ、安心して挑戦し、成長していくことができます。
この7月、暑さや環境の変化により感覚への負荷が増す時期でもあります。ぜひ今一度、子どもたちの「感じ方」に寄り添った支援のあり方を見直す機会としてみてみてはいかがでしょうか。
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