こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。
はじめに
保護者Bうちの子、支援が必要だとは思うけれど、専門機関に行くのはハードルが高い…



家庭でできる療育的な関わり方を知りたい
そんな保護者の方は多いのではないでしょうか。
療育とは、発達に支援が必要な子どもが、その子らしく育つための支援方法を指します。
しかし、療育は特別な場所でしかできないわけではありません。
本記事では、グレーゾーンのお子さんや、重度の障害があるお子さん、発語のないお子さんにも配慮した声かけの具体例を紹介します。
家庭でできる「療育的な声かけ」の基本的な考え方


声かけの目的
1. 子どもの気持ちを代弁・共感する
言葉にできない気持ちを、「イヤだったね」「うれしいね」など代弁してあげることで、安心感と信頼関係を育みます。
2. 行動を促したり、理解を助けたりする
「靴をはこうね」「あと5分で終わるよ」などの声かけは、行動の見通しを与え、不安を減らします。シンプルな言葉で伝えるのがポイントです。
3. 自己肯定感を育む
「がんばってたね」「見てたよ」など、小さなことを認める声かけは、「自分はできる」「大切にされている」という感覚につながります。
4. 社会性や生活スキルを高める
あいさつや順番待ち、身の回りのことなども、声かけを通して自然に学んでいきます。やさしく繰り返すことで習慣になります。
発達段階に応じた関わりが大切
言葉でのやりとりが得意な子もいれば、指示の理解に時間がかかる子、視覚的な情報の方が伝わりやすい子もいます。
たとえば、3歳児でも「靴を履こうね」と言ってすぐ動ける子もいれば、「靴ってどれ?」「今、何をする時間?」と戸惑う子もいます。
そんなときは、
このくつ、はこうね(靴を指さす)
と視覚的に示すことで、理解がスムーズになることもあります。
大切なのは、「この子にとって、いま分かりやすい伝え方は何か?」を意識することです。
声かけは「言葉だけ」ではない
「声かけ」というと、つい“話すこと”に意識が向きがちですが、実際には非言語のコミュニケーションも大きな役割を果たします。
以下のような方法も、子どもにとって大切な「声かけ」になります。
- 表情
にっこり笑って見つめることで、「大丈夫だよ」「うれしいね」と伝えることができます。 - ジェスチャー
「おいで」と手を広げたり、「ストップ」の手振りを使ったりすることで、状況を伝えるサインになります。 - 絵カードや写真
たとえば「おやつ」と言っても通じないときに、おやつの写真を見せて「これだよ」と伝えることで、理解しやすくなります。
言葉だけに頼らず、見せる・動かす・感じさせることが、子どもの理解と安心につながります。
シーン別・療育につながる声かけ例


シーン1:朝の支度・生活習慣


- 発語があるお子さん
「おはよう!今日の天気は晴れだね。何を着ようか一緒に決めよう」
→ 自主性と思考力を育む - 発語が少ないお子さん
「シャツ?ズボン?どっち着る?」(実物や写真を見せながら)
→ 視覚情報で理解を促す - 発語がないお子さん・障害の重いお子さん
「これにしようね(服を見せて笑顔)」+身体への優しいタッチ
→ 視覚と触覚を使って安心感を伝える
シーン2:ご飯やおやつの時間


- マナーを育てる
「いただきます」「ごちそうさま」などのあいさつ - 発語がないお子さん
「ごはん、あるよ〜(にこやかに指差し)」
→ 視線誘導・ジェスチャーを活用 - 行動を褒める
「すごいね、自分で持てたね!」
→ 小さな成功も言葉で伝えて自己効力感を高める
シーン3:遊びの時間


- 関心の共有
「これ、面白そうだね」「車が好きなんだね」
→ コミュニケーションの基盤づくり - 動きへの反応
(例:ブロックを叩いた→「カンカンって音がするね!」)
→ 行動を言語化して返す - 共同注意を促す
「見て!ボールが転がってる!」(指差し・視線合わせ)
→ “共感”の力を育てる
シーン4:困りごとやパニックの場面


- 安心の言葉を繰り返す
「だいじょうぶ、ここにいるよ」「ゆっくりでいいよ」 - 感情の代弁
「怒ってるね」「イヤだったんだよね」 - 身体サインへの理解
(例:体をのけぞる→「イヤだね、もうやめようか」)
→ 察する力も大切
重度障害や発語がないお子さんへの療育的関わり


“語りかけ”の継続が育む信頼関係
例:おむつ替えのときに「きれいきれいしようね」と声をかけるだけでも、安心感を与えることができます。
視覚支援との組み合わせ
- 写真カード: 食事やお風呂などを写真で提示
- 実物提示: 実際の物を見せながら声をかける
- タイムタイマー: 「あと5分だよ(タイマーを指さす)」+手を添える
視覚・聴覚・触覚を使って伝えると、理解が深まります。
“親の語り”が最大の療育
親の声はお子さんにとって一番安心できる音です。「おはよう」「大好きだよ」といった日常の一言が、心を満たす支援になります。
療育的な声かけを成功させるポイント
- 反応を“引き出そう”としすぎない
- 声かけは分かりやすく端的に。声かけしすぎない。
- 不明瞭な言葉や言い間違いは”言い直し”をさせず、さりげなく正しい言葉を添える。
「ぱとたー(パトカー)→「パトカーきたね」だけ。「パ・ト・カー!」と言い直しさせない - 好きなこと・得意なことをベースにする
- 「今ここ」の体験をことばにする
- 否定や命令を避ける
- 親自身が楽しむ姿勢を大切にする
よくある質問(FAQ)


Q:声かけをしても反応がありません。意味はありますか?
A:あります。お子さんは見ていないようで、しっかり「感じて」います。信頼関係づくりの第一歩です。
Q:どう声をかければいいのかわかりません…
A:「正しい表現」よりも「共感」が大切です。「雨だね」「おいしいね」など五感に注目した声かけから始めてみましょう。
Q:専門家でない親が療育的な声かけをしていいんですか?
A:もちろんです。家庭での関わりこそ、子どもの発達に最も影響があります。
結論:どんな子にも、声かけは届く


発語があってもなくても、障害の程度が重くても、親の語りかけには意味があります。
「おはよう」
「すごいね」
「大好きだよ」
そのひとことが、今日も子どもとの大切な時間をつくります。
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