こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。
言葉がうまく出てこない
話すよりもジェスチャーや表情で伝えることが多い
そんなお子さんと関わる中で、どうやって気持ちや意図をやり取りすればいいか迷うことはありませんか。
非言語コミュニケーションとは、言葉以外の手段で気持ちや情報を伝える方法の総称です。表情、視線、身振り、声のトーン、身体の向き、距離感、触れ方などが含まれます。
児童発達支援の現場や家庭でも、この力を伸ばすことはとても大切です。
言葉が苦手な子どもにとって、非言語でのやり取りは「伝える」「わかってもらう」ための重要な橋渡しとなります。
この記事では、非言語コミュニケーションの重要性と、家庭や支援現場でできる具体的な方法を専門的かつ実践的にご紹介します。
保護者の方もすぐに活用できるヒントや注意点も盛り込みました。
非言語コミュニケーションの重要性

言葉は便利なツールですが、人のやり取りのすべてではありません。
心理学者アルバート・メラビアンの研究では、人が受け取る情報の割合は「言語7%、声のトーン38%、見た目や態度55%」とされ、非言語の影響力は非常に大きいとされています。
言語発達前の土台づくり

乳幼児期、まだ言葉を発しない子どもは、
- 表情(笑顔・泣き顔・驚き)
- 視線(見つめる・そらす)
- 声の抑揚(高い・低い)
などを使って世界と関わります。この時期に周囲の大人がしっかりと応答することで、「自分のサインが届く」という経験を積み、言語の土台となる「やり取りの基礎力」が育まれます。
発達特性がある子どもへのサポート
例えば、
- 欲しい物を指さす
- イヤな時に身体をそらす
- 喜びをジャンプで表す
といった行動がサインとなります。支援者や家族がそれを正しく受け取り、反応することで「安心感」と「信頼関係」が深まります。
非言語コミュニケーションを育む支援アイデア

ここからは、家庭や児童発達支援事業所で、日常の中に自然に取り入れられる実践方法をご紹介します。すぐ始められる工夫から、継続して行える活動まで幅広くまとめました。
1. 視線と表情を使った遊び
いないいないばあ
- 顔を隠してから「ばあ!」と表情を見せる遊び
- 表情の変化に注目しやすくなる
- タイミングや間を変えると、「次はどうなるかな?」と予測しやすくなり、自分からも笑顔や驚きの表情を返しやすくなる
顔マネ遊び
- 支援者が笑顔・びっくり顔・悲しい顔などを見せ、子どもに真似してもらう
- 鏡や写真カードを使い、「これは笑っている顔だね」と感情ラベルをつける
- 慣れてきたら、子どもが先に表情を作り、大人が真似する形に発展させると、主体性が育つ
2. ジェスチャーやサインの導入

言葉がまだ出ていない時期や、言語でのやりとりが難しい子どもにとって、ジェスチャーやサインはとても有効なコミュニケーションの手段です。
- 「バイバイ」
- 「OK」
- 「もっと」
- 「ありがとう」
といった簡単な動作を日常生活に組み込むだけで、子どもは「自分の思いを相手に伝えられた」という達成感を得やすくなります。
また、ベビーサインや簡単な手話を導入することで、言葉が出る前から意思表示が可能になり、親子や支援者との関わりがより豊かになります。
習得の流れはシンプルです。
- 見せる:大人が動作を繰り返し示す
- 一緒にやる:子どもの手を添えて一緒に表現する
- 自分で使う:子どもが自然に動作を出すのを待つ
方法がバラバラだと混乱しやすいため、共通のルールを決めておくと安心です。
ジェスチャーやサインは、言葉の発達を妨げるのではなく「伝える楽しさ」を育てるきっかけとなり、コミュニケーションの土台を築く有効な方法です。
3. 視覚的支援ツールの活用
- 絵カードやピクトグラムで予定や選択肢を「見える形」にする
- 「おやつ」「遊ぶ」「帰る」など生活場面ごとのカードを用意
- 活用方法の例:
- 並べ替えて予定を示す
- 選ばせて意思表示させる
- 次の活動が見えることで、不安や混乱を減らし、行動がスムーズになる
4. 音やリズムでのやり取り

- 音で合図を作る
- 音の強弱やテンポで「始まり」「終わり」を示す
- 例:片付けの時間に特定の歌を流す
- 楽器を使ったやり取り
- 太鼓やカスタネットで交互に音を出し、順番を学ぶ
- 歌と動きを合わせる
- 歌にジェスチャーをつけて、視覚と聴覚の両方から理解を促す
- 歌にジェスチャーをつけて、視覚と聴覚の両方から理解を促す
支援時のポイントと注意点
子どもは言葉ではなく、視線・しぐさ・表情などで気持ちを伝えています。
その小さなサインを丁寧に受け止めることで、「伝わった」という実感が育ち、安心感につながります。
1. 観察を第一に

子どもの行動をよく観察し、どのようなサインを出しているのか気づくことから始めましょう。
- どのタイミングで視線を合わせるか
- どんな場面で手を伸ばすか
- 表情の変化(にこっと笑う、困った顔をする など)
無理に目を合わせたり、サインを引き出そうとしたりする必要はありません。
2. 応答性を高める

子どもが出したサインに、できるだけ早く・分かりやすく反応しましょう。
即座の反応は「自分の行動が相手に伝わった」という大切な成功体験になります。
- 指をさしたら → その物を渡す
- 笑いかけてきたら → 笑い返す
- 手を伸ばしたら → 一緒に取ってみる
3.環境調整
- 雑音や視覚刺激が多い場所ではサインが伝わりにくい
- 静かで落ち着ける空間を整える
- 背景をシンプルにして、サインを見えやすくする
非言語コミュニケーションの支援では、観察・尊重・即時の反応が基本です。
よくある質問(FAQ)

Q1. 非言語だけに頼ると、言葉が遅れませんか?
A. 遅れることはありません。むしろ非言語でのやり取りが豊かになるほど、後に言葉の習得がスムーズになるケースが多いです。
Q2. 支援者が変わるとやり取りが減るのはなぜ?
A. 子どもは相手の反応パターンに慣れるまで時間がかかります。支援者間で共通のジェスチャーや対応方法を共有すると、安心して関われます。
Q3. 家庭で簡単にできる方法は?
A. 食事や着替えなど日常の動作で、視線を合わせながらゆっくり行動し、表情や動きで伝える習慣を作ると効果的です。
まとめ:言葉以上のつながりを作る

非言語コミュニケーションは、単に言葉を補うだけでなく、人と人との信頼関係や安心感を築く大切な手段です。
家庭や支援現場での小さな工夫が、子どもの「伝えたい」「わかりたい」という気持ちを大きく育てます。
- 観察してサインを見逃さない
- 反応を返してやり取りを成立させる
- 環境を整えて安心して関われる場をつくる
こうした積み重ねによって、子どもたちはより豊かなコミュニケーションの世界へ踏み出していきます。
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