小学校入学前に育てたい3つの力

こんにちは。

保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

今回は「小学校入学前に育てたい3つの力」というテーマで、これから小学校入学を控えたお子さんを育てている保護者の皆さまに向けて、大切な視点をお届けします。


ぜひ、日常生活の中で少しずつ意識して育んでいきましょう。

目次

1. 自分の気持ちを言葉で伝える力

「ことばの力」は、小学校生活において欠かせない基盤です。

とくに、自分の気持ちを言葉で表現する力は、お友だちとの関係づくりや先生とのやりとり、そして困ったときの「助けて」が言える力につながります。

なぜ大切なのか?

小学校では家庭とは違い、お子さんの数が増え、環境も複雑になります。
その中で「いや」「うれしい」「わからない」「やってみたい」といった自分の気持ちを言葉で表現できることは、トラブル回避にも自己肯定感の形成にも役立ちます

さらに、感情をため込まずに外に出すことは、メンタルヘルスの安定にもつながります。
自分の気持ちを認識して、それを相手に伝えることができれば、不安や怒りを溜め込むことが減り、心の中のもやもやを整理する手助けになります。

ただし、ことばで気持ちを表すのが難しいお子さんも多くいます。そんなときは、

  • ジェスチャー
  • 表情
  • 気持ちカードやピクトグラム

など、「ことば以外の手段」で気持ちを伝える練習が大切です。

家庭でできること

  • 「今日はどんな気持ちだった?」と問いかける習慣をつける
  • 気持ちを色や天気で表現する遊びを取り入れる(例:「今日は雨みたいな気分だった」)
  • 保護者自身が、感情を言葉にする姿を見せる
  • お絵描きや工作を通じて「気持ちを表す」ことに触れる

「言えるって、安心なんだよ」と伝えることも大切です。

また、「今日はどうだった?」などの質問は、うまく答えられない子もいます。
そんなときは「楽しかった?」「悲しかった?」など、選べる形にしたり、絵やカードで選んでもらう方法おすすめです。

保育園や園との連携もポイント

お子さんが日中を過ごす園での様子も、自分の気持ちをどう伝えているかを知るヒントになります。
連絡帳などで園の先生と情報を共有し、家と園で一貫した声かけを行うことで、お子さん自身も安心して「伝える」経験が積み重なります。

また、園での様子を知ることで「うちの子はどんな場面で言葉が出にくくなるのか」「どういう関わり方だと話しやすくなるのか」といった傾向も見えてきます。
先生方とのやりとりを通じて、家庭でもお子さんに合った関わり方を見つけやすくなり、お子さんにとっても安心できる環境づくりにつながります。

2. 自分のことを自分でやろうとする力(生活の自立)

「身の回りのことを自分でやる力」は、幼稚園や保育園でも育てられている力ですが、小学校ではより一層求められます。

給食の準備、持ち物の管理、トイレなど、自分でできることが多いほど、学校生活でのストレスが減ります。

自立が難しい場合は、できるステップを細かくして、視覚的に伝えることで安心して行動できます。

なぜ大切なのか?

小学校では先生1人に対して児童が20人以上いるのが当たり前です。
ひとりひとりを細かくサポートすることは難しいため、自分で動ける力があると安心感にもつながります。

また、自分でできることが増えると「やればできた!」という成功体験が積み重なり、自己肯定感を高めることができます。これは学習面や人間関係にも良い影響を与えます。

言葉でやりとりするのが難しい場合は、絵本や動画を使って「気持ちの代弁」をすることで、感情ややりとりの理解をサポートできます。

家庭でできること

  • 朝の準備や持ち物チェックを一緒にやる
  • 「あとでママがやる」ではなく、「一緒にやってみよう」と声をかける
  • ボタンのかけ外し、ハンカチのたたみ方など、地味だけど大事な動作を練習する
  • 自分のことを決める経験(洋服を選ぶ・使う道具を選ぶなど)を増やす

失敗しても「がんばったね」と声をかけてあげることが、自立の大きな一歩になります。

また、遊びの中で「まって」「かして」など、必要なフレーズを練習したり、カードで意思表示ができるように準備しておくことも有効です。

日々の「選択」が育てる自信

朝の服を自分で選ぶ、夕食のメニューを決めるなど、日常の小さな選択を通して「自分で決める」経験を積むことができます。
この積み重ねが、学校生活でも主体的に動く土台になります。

特に入学前の時期は、「選んだことが叶った」「自分で決めてよかった」と思えるような成功体験が大切です。

たとえば、雨の日に自分で傘を選んだ経験が、「自分の判断で動けた」という自信につながります。
親が先回りせず、あえてお子さんに決めさせる場面を増やすことが、内側からの自立を支える力になります。

自分の服を自分で選ぶ、夕食のメニューを決めるなど、日常の小さな選択を通して「自分で決める」経験を積むことができます。

この積み重ねが、学校生活でも主体的に動く土台になります。

3. 集団の中での基本的なやりとり(社会性)

「みんなで過ごす中でのマナーやルールを知っていること」も、入学前に育てたい大切な力です。
これは厳しいしつけではなく、相手の気持ちを想像する」や「ルールの中で楽しむ」経験の積み重ねです。

なぜ大切なのか?

集団生活では「順番を待つ」「話を聞く」「人の気持ちに気づく」といった力が求められます。
これらが育っていると、学級という集団の中でスムーズに過ごすことができます。

さらに、こうした社会性の基礎があることで、お子さんが安心して周囲と関われるようになり、孤立やいじめといったトラブルの予防にもなります。
相手を思いやる気持ちや協調性は、長い目で見ても人間関係の土台になります。

家庭でできること

  • すごろくやカードゲームなど、順番を守る遊びを取り入れる
  • 公園で「譲る」経験を意識してみる
  • 「相手はどう思ったかな?」と一緒に振り返る時間をもつ
  • お店屋さんごっこや役割を交代しながらの遊びで、やりとりの経験を増やす

失敗しても、「次はどうしたらいいかな?」と一緒に考える姿勢が、お子さんの社会性をぐっと育てます。

絵本や動画で「気持ちの代弁」を学ぶ

人との関わりに関する絵本やアニメを一緒に見ることで、「こういうときはどうしたらいいかな?」と考えるきっかけになります。
登場人物の気持ちを想像しながら会話することは、社会性を育てる楽しい学びになります。

特に感情表現が苦手なお子さんにとって、物語の中のキャラクターは“自分の代わり”となって気持ちを表してくれる存在になります。

「この子はどう思ったと思う?」「似たようなことあったよね」といった対話を重ねることで、共感力や視点の切り替えが自然と育っていきます。

お友達との関わりに関する絵本やアニメを一緒に見ることで、「こういうときはどうしたらいいかな?」と考えるきっかけになります。登場人物の気持ちを想像しながら会話することは、社会性を育てる楽しい学びになるでしょう。

4. 伝える手段の多様性(新規トピック)

なぜ大切なのか?

「伝える力」といっても、「話すこと」だけが手段ではありません。
特に、発語がない・少ないお子さんにとっては、自分の気持ちや要求をどう伝えるかが、安心して生活するための大切な鍵になります。

例えば、「おなかすいた」「イヤ」「トイレ行きたい」など、日常でよく使うフレーズを、ことば以外の手段(ジェスチャー、カード、スイッチ、タブレットなど)で表現できるようになることで、「わかってもらえる」体験が増えていきます。

家庭でできること

  • 「YES/NOカード」や「気持ちカード」を冷蔵庫に貼るなど、身近に使える環境を整える。
  • 親子で一緒に使ってみる(親がモデルを見せる)。
  • 視線や指さしも大事な「伝える手段」として尊重する。

「わざわざカードを使うまでもないかも…」と思う場面でも、「伝えられた!」「わかってもらえた!」という小さな成功体験を積み重ねることが大切です。

また、保育園や園と連携して「ご家庭ではどうやって伝えているか」を共有することで、生活全体で統一感のあるサポートが可能になります。

おわりに

お子さんの成長は一歩ずつ進んでいくものです。今日できなかったことが、明日少しできるようになる。その積み重ねが、お子さんの「生きる力」になります。

小学校入学という節目は、親にとっても子にとっても大きなチャレンジです。

しかし、完璧を目指すよりも、楽しみながら取り組むことが、長い目で見て大きな力になります。

保護者の皆さんも、心配なときこそ「ひとりじゃないよ」という気持ちでいてください。
子育てには正解がありませんが、お子さんと一緒に歩んでいく姿勢こそが、何よりの力になると思います!

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