愛着障害のあるお子さんの気持ちと支援

こんにちは。
保育・療育専門家のコノアス合同会社 代表 柏木です。

目次

はじめに

児童発達支援の現場では、大人との関わり方に難しさを抱えるお子さんに出会うことがあります。
過度に甘えたかと思えば急に離れていったり、初めての人にも見境なく近づいたり、反対に誰にも心を開けなかったり。

こうした姿の背景には、「愛着(アタッチメント)」の育ちにくさが隠れていることがあります。

この記事では、愛着障害のあるお子さんの気持ちを理解し、日々の支援でできる工夫を、児童発達支援の視点からお伝えします。あわせて、重度の障害があるお子さんや、発語が難しいお子さんについても触れていきます。

愛着障害とは

愛着とは、お子さんが特定の大人(多くは保護者)との間で結ぶ、心の絆のことです。「困ったときにこの人が守ってくれる」という安心感が、外の世界を探索していくための土台になります。
何らかの理由でこの絆が育ちにくかった場合に、対人関係や感情の表し方に偏りが見られることがあり、これを愛着の課題としてとらえます。

ここで大切なのは、愛着の育ちにくさを「保護者の愛情不足」と単純に結びつけられないということです。

お子さんの生まれ持った特性、入退院を繰り返す環境、感覚の過敏さなど、さまざまな要因が重なって生じます。
誰かを責めるのではなく、今このお子さんに何ができるかを一緒に考える姿勢が、支援の出発点になります。

お子さんの気持ちに現れるサイン

愛着に課題のあるお子さんは、気持ちの表し方が独特なことがあります。

安心したいのに素直に甘えられない、近づきたいのに乱暴な形でしか関われない。
こうした行動の奥には、「本当は安心したい」という願いが隠れています。

気持ちの揺れは、情緒の面にも表れます。
急な奇声や癇癪、場面の移行にともなう気持ちの切り替えの難しさなどです。

こうした姿は、集団生活や日常の中で「受け入れにくさ」「切り替えにくさ」として見えることがあります。
ただ、これらは多動のように外から分かりやすいものばかりではなく、目に見えにくい場合も少なくありません。

「困った行動」ではなく「困っているサイン」として、情緒という側面から静かに読み取っていくことが大切です。

重度の障害や発語が難しいお子さんの場合

重度の障害があるお子さんや、発語が難しいお子さんは、不安や甘えたい気持ちを言葉で伝えることが難しいです。
その分、表情・体の動き・視線・呼吸のリズムといった小さなサインが、大切な手がかりになります。

たとえば、支援者が近づくと体をこわばらせる、反対に体を預けてくる、特定の人の声で落ち着く、といった反応です。
こうした一つひとつを「このお子さんなりの気持ちの言葉」として受け止めていきます。

言葉のやりとりがなくても、愛着は育ちます。
決まった人が、決まったやり方で、繰り返し優しく関わること。その積み重ねが、安心の芽をゆっくりと育てていきます。

日々の支援でできる工夫

安心の土台をつくるために、現場でできる工夫を挙げます。

  • 特定の担当者を決める。関わる大人がころころ変わらないことで、「この人は安心できる」という感覚が育ちます。
  • 見通しを伝える。次に何をするのかを、絵カードや写真、短い言葉で予告し、切り替えの不安をやわらげます。
  • 気持ちを言葉にして返す。「びっくりしたね」「そばにいるよ」と代弁することで、わかってもらえたという安心が生まれます。
  • 安心できる場所をつくる。クッションや布で囲んだ落ち着けるコーナーを用意し、つらいときに自分で逃げ込めるようにします。
  • できたことに注目する。小さな安心の表れや、自分から関わろうとした瞬間を見つけて、静かに喜びます。

無理に距離を縮めようとしないことも大切です。
お子さんのペースを尊重し、「近づいても大丈夫」と感じられるまで待つ関わりが、結果的に信頼を育てていきます。

家庭・園・学校との連携

愛着の育ちは、関わる大人が同じ姿勢を共有することで安定します。
家庭と事業所とで、声かけの言葉や対応の仕方をそろえておくと、お子さんは混乱せずに過ごせます。
連絡帳や写真で日々の様子を共有し、家庭での困りごとも一緒に考えていきましょう。

また、就学後を見据えた視点も役立ちます。
小学校には、情緒面の特性に応じた支援学級が設けられていることもあります。

早い段階から関係機関とつながり、お子さんに合った学びの場を一緒に探していくことが、長い目で見た安心につながります。

支援する大人自身のケア

愛着に課題のあるお子さんとの関わりは、試し行動などもあり、大人が疲れやすいものです。
うまくいかない日があっても、それは支援者や保護者の力不足ではありません。
困った場面や小さな成功を仲間と共有し、休息の時間を確保することが、安定した関わりの土台になります。

大人自身が安心していることが、めぐりめぐってお子さんの安心にもつながっていきます。

FAQ

1. 愛着障害は保護者の育て方が原因ですか?

一つの原因に決めつけることはできません。お子さんの特性や体調、環境などが重なって生じます。原因を探して誰かを責めるより、今できる関わりを一緒に考えることが大切です。

2. 発語がないお子さんとも、愛着は育ちますか?

育ちます。表情や体の動き、視線などのサインを受け止め、決まった人が繰り返し優しく関わることで、安心の絆は少しずつ育っていきます。

3. 急な癇癪や奇声が続くときは、どう対応すればよいですか?

まずは気持ちを受け止め、落ち着ける環境を整えます。情緒面のサインとしてとらえ、見通しを伝えたり、安心できる場所を用意したりする工夫が助けになります。強い状態が続く場合は、専門機関にも相談しましょう。

まとめ

愛着障害のあるお子さんの行動の奥には、いつも「安心したい」という願いがあります。

急な情緒の揺れや切り替えの難しさも、困っているサインとして受け止めることが第一歩です。
重度の障害があっても、発語が難しくても、決まった人が繰り返し優しく関わることで、安心の絆は育っていきます。

児童発達支援事業所は、お子さんと保護者に寄り添う伴走者です。
気になることがあれば、どうぞ一人で抱え込まず、ご相談ください。

はぐちるの森は、こどもたちの明日を考えるブログ

子どもたちの発達をゆっくり支援していく施設「はぐちるランド」を運営しています。
はぐちるランドは、子供たち一人ひとりがこれからの未来を楽しくのびのびと生活できるよう援助、療育を行う施設です。

また、児童発達支援施設の開設・運営をトータルサポート
子どもたちの未来のために、一緒に支援する場所を作っていきたい方の応援をしております。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA



The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

目次